ルート邑11
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「助けて!」
「何が怒ってるんだ…魔術師は何をしてるんだ!」
「逃げろ…早くここから逃げろ…」
叫び声と混乱の中で、恐怖と絶望に満ちた悲鳴が響き渡る。
激しく攻撃を受けた男たちの頭は、衝撃により次々と跳ね飛ばされ、彼らの息の根は、悲鳴と共に静かに、そして残酷に断ち切られていった。
「ボス…魔術師連れてきました‼︎」
その声に反応するかのように、15人もの魔術師が激しく駆けつけ、混沌とした戦場に秩序をもたらそうと、少年の周囲に何重にも重なるドーム状の障壁を形成し始めた。
彼らの魔法が織りなす防御のバリアは、光と闇が交錯する幻想の膜のようで、その存在感は、まさに目の前で繰り広げられる超常的な現象を抑え込む唯一の希望のようであった。
しかし、あの3本の白い棒状のエネルギー体のようなものは、次々と重なる障壁を容赦なく押し破るかのように、内包する圧倒的な力で、戦闘の流れをも左右し始めた。
「おい。もう大丈夫なのか?」
ボスと称される男は、額に汗を浮かべながら、混沌の中で震える声で魔術師の一人に問いかけた。
その厳しい視線の裏には、自己の無力さと、現在進行中の惨状への苛立ちがにじみ出ていた。
「えぇ。魔法は魔法でしか対応できないので、現状を見る限り、あれは魔法ではなさそうです。このまま全員で力を合わせて抑えれば、何とか…」
「そうか、にしてもあれは一体何なんだ?」
「わからないです」
「じゃあ、あれを使役することはできないということか?」
「流石に使役するより、殺すほうが得策かと…」
「そうか…そうだよな。それにしても、あの見た目とあの力といったら、まるで…」
男たちの会話は、戦場の騒乱と惨劇の中で、互いに交わされる戸惑いと絶望、そして怒りと焦りが奇妙なハーモニーを奏でるかのように、さまざまな感情が絡み合い、混沌とした情景と一体化していた。
視界には、純白に輝く槍と、それから連なる四本のエネルギー体が、まるで人の意志や魂が具現化したかのように壮絶な光景を描き、同時に、深い瑠璃色の冷たい輝きと燃え盛る紅玉色の閃光が、戦場全体に激しい緊張感と美しさを放っていた。
その瞬間、耳には金属の激突音、剣戟の鋭い切れ込み、そして破裂する骨の音や血が飛び散る悲鳴が重なり合い、肌に伝わる熱風と冷えた血の匂いが、あたりの空間を支配した。
すべての感覚が研ぎ澄まされたかのようなその一瞬に、少年の右手から発現した純白の槍と、そこから流れ出す謎めいたエネルギー体は、神話の英雄が宿命に抗い己の意志を解き放つかのように、壮絶な叙事詩の一幕を記録するかのようであった。
— μετά—
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