ルート邑2
なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。
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少年は再び問いかける。
「ところで、これ、どこに向かってるんだ?」
問いの中には、目的地への漠然とした不安と、安堵のための手がかりへの渇望が含まれていた。
ツィアは、まるで冷たい風に心を奪われたかのように口を開いた。
「ニュー・ハリス」
その一言が、彼女にとってどれほど重要な意味を持つのかは、言葉の裏に秘められた想いとともに、ただ静かに響くだけだった。
「どこだそれ?」
少年はさらに問いかける。
「士官学校…」
と、ツィアは短く答えるが、
「それはどこにあるか知ってるの?」
という問いに対しては
「知らない」
という蛋白な返答しか返ってこなかった。
・・・えっとぉ…え?
その冷徹な返答は、少年の心にさらなる不安と疑念を刻みつけ、彼の脳裏をかすめるのは、先行きの見えぬ荒野を歩むことへの恐怖であった。
周囲は、時折遠くでかすかに響く雪の落下音や、踏みしめるたびに響く枯葉の擦れる音が、静寂の中に不意の動きを与えるだけで、まるで夢幻の中にいるかのようだった。
視覚に映るものすべてが、現実と幻想の狭間で揺れ動き、嗅覚に感じる冷たく湿った空気と、土の匂いが混じり合い、耳に届く音の無さが、まるで何か大いなる力の前触れのように思わせた。
そして、手と手が触れ合う温かさのみが、二人を確かな存在として引き留め、未知なる運命へと歩みを進めさせる源であった。
こうした奇妙な感覚と未知への期待、そして不安が交錯する中、二人は明確な目的地を知らぬまま、ただ途方もなく続く山道の先へと足を踏み入れ、心の奥底に秘めた問いかけと共に、次第に遠のいていく光と影の境界線の上を彷徨っていた。
「じゃあ、まずは人の姿を捉えることから始めよう」
「うん」
辺り一面を覆う雪は、まるで静寂なヴェールのようにすべてを包み込んでいた。
薄明かりの中、寒気を帯びた木々のシルエットが不気味に浮かび上がり、天からの光ですら届かないその山道は、ひっそりとした陰影とともに存在感を放っていた。
風が吹くたびに、雪面に生じる微かなざわめきと遠くで鳴り響く獣の唸り声が、まるで生と死をささやくかのように耳に届く。
少年と少女は、重たく感じる足取りとともに、静寂の中をひたすら前へ進んでいた。
やがて、意識の中に不意に忍び寄る違和感——方向感覚が次第に狂い、判断能力の奥底が霞み始めるのを、彼は鋭く感じ取った。
歩みが進むごとに、身体は次第に凍りつき、手足に痺れが走り、立ちくらみのような不快な感覚が全身を支配していった。
「ツィア、大丈夫か? なんだか僕…さっきから体調が急激に悪くなってるんだ。なんだこれは…」
— μετά—
ふわっと現れ、ふわっと投稿。良きかな良きかな…




