——ニュー・ハリス:中央都市・センフィールド——Ⅲ
なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。
→ 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/
「おやおや……死んだはずの人間が、こんな場所で何をしているんだ? トニーさんよ」
その声は、驚嘆とほっとした安心感が入り混じり、まるでかつて失われた友を迎え入れるかのような温かさが感じられた。
男はゆっくりと振り返り、声の主の顔を確認すると、胸中に一瞬の懐古の情が溢れ、柔らかな笑みを返した。
「おぉ……エリックじゃないか。久っしぶりだなぁ」
二人は固い握手と、互いの肩に抱擁を交わしながら、長い年月を経ても色褪せぬ友情の絆を確かめ合った。
その瞬間、過ぎ去った戦火の記憶や数々の危機を共に乗り越えた日々が、空気中に鮮明に蘇るようで、周囲の冷たい石の感触すらも、温かい思い出に変わるようだった。
エリックは、息を切らすような感情を抑えつつ、静かな声で問いかけた。
「大丈夫だったか? 聞いたぞ。スィゾー、消滅したってな」
トニーは一瞬、過去の地下都市での任務と激しい戦闘の記憶に思いを馳せると、淡々と口を開く。
「あぁ、地下都市のことか?」
するとエリックは眉をひそめながらも、続けた。
「そうだ。お前、確かあそこで任務に従事してたはずだったよな。正直なところ、無事を願いつつも、やっとお前の墓参りに行けると胸を弾ませてたんだがな……」
トニーの口元からは、苦笑いが交じりながらも、どこか皮肉すら感じさせる声が発せられた。
「HAHAHAHA….お前の死に様を見届けるのが、私の役目だからな。それまでにくたばるわけにはいかねぇんだわ」
エリックは思わず大笑いしながらも、鋭い視線で問い詰めた。
「HAHAHAHAHA….でも、本当にどうやって生き延びたんだ? 生存者なんていなかったと聞いていたが…」
トニーはしばしの沈黙の後、重い語気で語り始めた。
「たまたま、その前日にこっちに用事があってな。着いた時には……ってな感じだ。聞いたときは自分でも驚いたもんだ」
エリックは、驚きとともに信じ難いといった様子で首を横に振りながらも、どこかほっとし表情を見せた。
「たまたま…ね? そうか、じゃあ本当に偶然というしかないんだな」
「まぁな。運が良かったってやつだ」
ふと、遠い記憶の中に消えた命たちのことに思いを馳せるかのように、しみじみと呟いた。
「なるほどな。いずれは、どっちにしろ同じ結果に至る運命だったのかもしれんしな。国のために命を捧げれたんだ。ディーンの奴らも、これ以上ない喜びだろうな」
— μετά—
ふわっと現れ、ふわっと投稿。良きかな良きかな…




