地下都市50
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「その通りじゃ。通常、神々はアースの流れすら操ることはできぬ。
しかし、この世の理をはるかに超越した、かつての古き偉大なるアースの使い手である、ある男が遺した最後の遺物なのじゃ。
これは、全てのハーリグリーフの希望、その未来を担う武器である」
フレイの声は、遠い風が砂塵を巻き上げる荒野の音のように、低く、力強く、そしてどこか哀愁を含んでいた。
彼の言葉が響くたび、足元の石畳が微かに震え、地下深くから染み出す湿った土の匂いが一層その重みを感じさせた。
「まさか…こんなものを受け取るなど、絶対に無理だ……」
少年は、混乱と恐れ、そしてどこか抗い難い運命に引き寄せられるような心情を露わにする。
彼の手は、まだ冷たく硬い金属の感触を覚え、体中に流れる血潮が、不安と戦いへの覚悟を伝えようとしていた。
「いや、お主が受け取るのじゃ。
お主でなければ、この武器は決して運命を変えることはできぬ。
これは、この地下都市を出で、荒れ狂う外界へと進む者に託されるべきもの。
それがお主なのじゃ」
フレイは、上方を指し示すと同時に、厳格な面持ちで語りかける。
その指先が示す先には、血のように赤く、まるで呪いを帯びたかのような巨大な門が、薄暗い空間の中に不気味に浮かび上がっていた。
「それは、一体どういう…」
少年が疑問を口にしようとした瞬間、フレイは彼の言葉を遮るかのように、力強く腕を掴み、無理やりその足を引きずるようにして、赤い呪縛のごとく漂う門の前へと引き寄せた。
「今は、何も知る必要はない。アースがお主を導いてくれるだろう。
さあ、いよいよお主の旅立ちの時じゃ」
その瞬間、門の向こう側から、眩いばかりの光が放たれ始めた。
光は次第に強さを増し、まるで熱い太陽のように周囲を焼き尽くすかのように輝きを放つ。
時間の経過とともに、光は激しくなり、地面は震え、細かな亀裂が次々と走り出す。
地下深くに積もった白い塵が、亀裂から勢いよく噴き出し、突風に乗って舞い上がる。
その瞬間、赤や紫の不吉な光が爆発的に溢れ出し、門が恐るべき開門の儀を執り行う。
その光景は、まさにカオスの極みであり、破滅と再生が交錯する神秘的な舞台であった。
周囲に漂う焦げた匂いと、激しく鳴り響く轟音が、戦場に立つ者の心を凍りつかせる。
「またいつか、然るべき時が来らば、会おう。アースの誘いと共に」
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