地下都市44
なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。
→ 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/
周囲の空気は激しい熱風とともに歪み、耳をつんざくような轟音が65階層に満ちた。
その瞬間すぐにわしが、冷静さを保ちながらも必死にその暴走を収めようと、両手を広げ、呪文の詠唱を始めた。
声は、緊迫した空気に混じり、汗と焦燥の匂いを漂わせながら、瞬く間に暴走する力を封じ込めるべく、確固たる意志を示した。
だが、暴走という現象は、覚醒とは異なり、制御不能な混沌の中に己の限界を突きつける。
暴走を止めるためには、どうしても大きな代償が伴う。
結果として、その代償は非常に重く、まだ若干12歳にして少年は右目を失い、左手には重苦しい枷をはめることとなった。
まるで一瞬の輝きの中に、未来への大きな犠牲が刻まれたかのようであった。
その出来事は、誰もが一度は夢にも見なかった異常な現象であり、わし自身も長い人生の中でこのような暴走を目の当たりにしたのは初めてであった。
わしでさえ、その時足がすくみ、体中が冷え切った恐怖に支配されるのを感じ、心臓が激しく脈打つのを感じた。
まるで全身が凍りつき、時間の流れが止まったかのような感覚に襲われ、彼はその場にただ立ち尽くすしかなかった。
一方、暴走の瞬間、少年の身体からは、多くの憎しみや憎悪が具現化したかのような熱く激しいエネルギーが溢れ出していた。
肉体は激しい痛みに侵され、彼は苦悶に身をよじりながらも、内面の叫びが体中を駆け巡るのを感じていた。
汗と涙で濡れた顔に、恐怖と絶望が混じる表情が刻まれ、その姿はまるで自らの破滅を予感させるかのようであった。
わしはその光景を目の当たりにし、自分の指導に対して後悔など感じなかったものの、内心では深い罪悪感が胸を締め付けるのを感じた。
自らの手で、あの力を制御できなかった自分の無力さに、彼の心は苛まれた。
しかし、皮肉なことに、その惨劇を経た後、少年の習熟度は飛躍的に向上したのである。
暴走という苦い体験が、彼にとっては己の内なる闇と向き合うための激しい試練となったのだ。
彼の上達速度は目を見張るものであった。周囲の戦士たちも、彼の成長ぶりに驚嘆し、
「本当にあの男のようだな」
と、呟かずにはいられなかった。
こうして、少年はわずか二年の激しい修練の末に、アースの基礎を完全に習得した。
訓練期間は間近に迫り、あと数日の猶予しか残されていなかったが、その日々は少年にとってまさに命がけの戦いであった。
— μετά—
アドバイスや感想を是非気軽に書いてください！
