地下都市43
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闇夜の中、少年は重い息をつきながら、かすれた声で訴えた。
「もう……降参でいいんだ……頼むから……やめてくれよ……」
視界は霞み、腕や足は鉛のように重く、全身は疲労と痛みで痺れ、思考すらもまともに働かなくなっていく。
しかし、その哀願に対し、フレイは冷酷な声で応じた。
「降参などという概念はここにはない。お主が逃げ続ける限り、この攻撃は永遠に終わらぬのじゃ」
フレイの言葉は、まるで冷たい鋼鉄の刃のように、少年の耳に突き刺さった。
少年の瞳には、焦燥と苛立ち、そして深い絶望が浮かんでいた。これまでの日々、彼は無数の訓練に耐え、己の成長を信じてきた。
しかし、戦闘の基本すら未だ掴めぬまま、ただただ魔法の猛攻に晒される状況は、理不尽であり、彼の心に激しい怒りと自暴自棄の感情を呼び覚えた。
「戦闘方法……?」
その問いは、彼自身の無力さと、己の進むべき道が見えぬままに突き放される苦しみを象徴していた。
フレイは、やや目を細め、冷静かつ淡々とした声で告げた。
「戦闘方法とは、人から教わるものではなく、己の内側に眠る真理を自らの力で見出すものじゃ」
しかし、少年はその答えに対し、憤怒と絶望を隠せず、激しく叫んだ。
「……その見出す方法が、俺にはわからねぇんだよ!!」
叫びは、虚空に向かって響き渡り、まるで内側から燃え上がる炎が、己の存在意義を問いかけるかのようであった。
フレイは内心、ため息混じりに、しかし厳しい口調で命じた。
「口答えは無用じゃ。少しは解決の糸口でも探してみたらどうじゃ」
その瞬間、少年の身体にかすかな変化が走った。
彼はこれまでの単なる回避行動を超え、己の内に流れるエネルギー。
アースの宿る力を、極限まで圧縮し、爆縮させるという一縷の望みに賭けたのだ。
その試みは、まるで内側で燃えさかる火山の噴火のようであった。
少年は必死に、全身の感覚を一点に集中させ、手のひらから伝わる熱や、血潮が沸騰するような感覚、さらには体中を駆け巡るエネルギーの振動を、ぎゅっと押さえ込もうとした。
瑠璃色の輝きと、燃え上がる紅玉色の閃光が少年を中心に収束してゆく。
しかし、完全な制御法を知らぬまま、彼が集約した力は、あまりにも強大で、すぐさま暴走を始めた。
その瞬間、少年の内側から、凄まじいエネルギーが解放された。
彼の身体は、内側から爆発するような衝撃波に包まれ、周囲の空気は焦げるような熱風とともに揺らめいた。
眩い閃光が辺りを走り、まるで宇宙の深淵から突如切り裂かれた光の矢が、あらゆるものを貫くかのような破壊力を見せた。
激しい轟音とともに、戦場は一瞬の静寂と混沌に包まれ、すべての存在がその瞬間に凍りついたかのようであった。
— μετά—
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