表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/93

地下都市41

なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。

     → 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/

 その一言に、彼の心に懐かしさと共に、切実な不安が入り混じっていた。

 すると、フレイは少しだけ目を細め、静かでありながらも落ち着いた口調で答えた。


「彼女は、彼女なりに今できることを着実にやっている。お主が心配する必要はない。

 今、最も大切なのは、まずは自分自身の身を守ることじゃ」


 その言葉は、まるで厳しくも優しい師のように、少年の背中を押す一撃であった。

 少年は唇を噛み締め、内心の決意を新たにするかのように拳を固く握った。


「……わかった」


 彼の瞳には、過去の影と、未来への不確かな期待が交錯し、これから待ち受ける運命への静かな覚悟が宿っていた。

 少年は、己の内に秘めた混沌とした思いを胸に、今まさに新たな一歩を踏み出そうとしていた。

 全身に走る冷たい震えと、心を突き動かす熱い情熱が、彼に生への強烈な意志を与えていた。

 そして、やがてその意志は、次なる戦いの始まりとして、彼自身の運命を大きく変えていくのだと、確信せずにはいられなかった。


 少年は、日が昇る前の薄明かりの中、ひたすら訓練に身を捧げた。

 毎日のように、彼は己の内面に潜む力―アースの流れを感じ取り、五感を研ぎ澄ますべく、目を閉じ、耳を澄ませ、身体全体でその存在を捉えようと試みた。

 外界の音や光が一切遮断された深い闇の中、彼の意識は内側へと向かい、まるで微細な風のささやきや、遠くから漂う潮の香りのように、力の波動が確かに伝わってくるのを感じた。

 その感覚は、冷たい石に触れたときの感触や、かすかな湿り気を帯びた空気の流れのように、肌で感じることができた。


 訓練の場は、まるで無音・無光の世界そのものだった。

 視界は真っ暗で、耳に届くのは自分自身の心臓の鼓動と、時折微かに聞こえる、まるで風に乗って流れるような謎の囁きだけであった。

 少年はその中で、ひたすら自身の内側に宿る力の流れを捉えようと努めた。

 彼は、五感が完全に遮断されたその状態で、皮膚を通して流れるエネルギーの温かさ、時には冷たさすらも感じ取るという、極限の訓練に身を委ねたのである。


 しかし、この厳しい修練は、ただ静かな瞑想のような穏やかな時間だけではなかった。

 時に彼は、熾烈な現実と向き合わなければならなかった。

 燃え盛る炎に触れるかのような激痛が皮膚を焼き、耐えがたい熱が彼の体内に染み込む瞬間、彼は大火傷を負った。





  — μετά—

アドバイスや感想を是非気軽に書いてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ