地下都市23
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男は言葉の隙間から涙をこぼし、その涙は、夕暮れの空に溶け込む赤い陽炎のように、かすかな光を放っていた。
「わしは、死ぬまでにもう一度ここから外の世界に出て、宝石のように輝く海を眺め、別の場所で戦いながら生きながらえているかつての仲間たちと再会したいと願うのじゃ」
と、悲哀と共に呟くその姿は、老木に刻まれた年輪のように重く、深い哀しみを感じさせた。
すると、少年は怒りと共に意を決し、
「なぁ。ジジィ。その願い、僕が必ず叶えてやるよ。
あの国の奴らを追い出し、ここを解放すればその願いは叶うってことなんだろ?
そうすりゃその海ってやつだっけ?…を見れるわだし、好きなだけ同胞と思い出話でもすればいいさ。
だからそんな顔すんなって」
と、熱い情熱を込めて答えると、男は優しくも厳しい笑みを浮かべながら
「誰がジジイだ、クソガキが。まったく、お主は相変わらずじゃな。しかし、その熱い気持ちだけでも嬉しいぞ。ありがとうな」
と、心に染み入る温かい言葉を返した。
男は、再び指を鳴らし、今度は両手を高く掲げると、先ほどまでの幻のような魔法陣を取り戻すべく動き出した。
その瞬間、魔法陣はまるで空に咲く花火のごとく再び姿を現し、天井から降り注ぐかのように、色とりどりの閃光が部屋中を支配した。
それは、まるで真冬の夜空に散らばる無数のオーロラのように美しく輝き、青、緑、赤、そして黒が複雑に絡み合い、幻想的な舞踏会を繰り広げていた。
まるで天の川をも引き裂くかのような迫力と、細部に宿る無数の輝きが、見る者の心を一瞬にして奪った。
まさに、この魔法陣は、戦場に突如として降り注ぐ雷鳴と稲妻のごとく、誰もがその存在に畏怖の念を抱かざるを得ない、絶対的な力の象徴であった。
「この通りじゃ。見たまえ、魔法戦において、これほどの絶対的な力を誇るものは他にない。
だからこそ、これを使いこなせる者は極めて限られている。
お主には、今から士官学校に入学するまでのわずか2年で、この“アース”の秘術の基礎を完全に習得してもらう。
通常、これほどの技を磨くには5年から10年もの年月が必要とされるが、お主は腰抜けだが見どころはあるからな、その短期間での修行が許されるのじゃ」
と、男は重々しく宣告する。
「二年⁉︎そんな短期間で…無理だよ。僕には到底…」
と、少年は呆然としながらも、内心では挑戦への不安と同時に、どこか燃え上がる闘志を感じずにはいられなかった。
「できるできないではない。やるのだ。お主がこの道を選んだ以上、後戻りはできぬ。
さあ、訓練を始めるのじゃ」
と、男は鋭い眼差しで命じ、少年たちはその厳しい修行の日々へと足を踏み入れていった。
— μετά—
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