地下都市18
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「よく聞け。最後の人情として、ここで一度だけ、ラストチャンスを与えよう。
もしお主が諦めるなら、今のうちじゃ。
再びこの世界へ戻ることは二度と叶わぬぞ。
ぬる湯に浸かるような、退屈で虚しい生活、そしてその生意気な表情を浮かべることも二度とできぬのじゃぞ」
と、老人は低く重々しい声で語りかける。
「覚悟はもうできてる」
と、少年は固い決意を口にすると、老人はにんまりと笑みを浮かべ
「ならば、お主は腰抜けだが、特別な訓練を授けよう。本物の戦士となるための修行をな」
と言い捨てると、彼は階段を下り始めた。
しばらく進むと、壁に刻まれた64階との標識の横を過ぎ、さらに3階層ほど下る感覚を味わうと、最深部の65階と書かれた、錆びた古びた標識がひっそりと存在していた。
その錆びた標識は、年月の重みを物語るかのようにひび割れ、壁一面に大きな×印が刻まれているのが目に入った。
まるで、かつての栄光と苦悩が重なり合った戦場の傷跡のようだった。
階段を全て下り切ると、そこにはまるで神殿のような荘厳な空間が広がっていた。床は艶やかな大理石のように輝き、無数の太く高い柱がまるで守護神の如くそびえ立っている。
天井は、先ほどまでの階層で見た錆びた壁と同じ素材で造られており、上部はただの無機的な壁に過ぎなかったが、下部の2/3は純白の光を放ち、あたかも雪に覆われた大地のように清らかであった。
しかし、その白さは決して人工的な塗装ではなく、じわじわと繁殖する神秘的なカビのように、時の流れに逆らうかのように存在していた。
そして、その空間の最も奥の壁に、まるで呪われた血のような赤で彩られた、ひときわ異様な門がぽつんと佇んでいた。
「魔法、そして魔力というものは聞いたことがあるか?」
突然、フレイが厳かな声で問いかける。
「はい。あの門を通るためにも魔法が使われたのですよね? 先ほどツィアが……」
少年はためらいながらも確認する。
「その通りじゃ。そして、わしもその力を扱えるのじゃ」
フレイは静かに目を閉じた。その瞬間、空間がわずかに震え、冷たい風が足元から吹き上がる。
彼の手がゆっくりと前に伸ばされると、まるで目に見えない糸が世界の法則を引き裂くかのように、空気がざわめき始めた。
——突然、少年の身体を中心にして、激しい渦が巻き起こる。
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