表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/93

地下都市18

なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。

     → 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/

「よく聞け。最後の人情として、ここで一度だけ、ラストチャンスを与えよう。

 もしお主が諦めるなら、今のうちじゃ。

 再びこの世界へ戻ることは二度と叶わぬぞ。

 ぬる湯に浸かるような、退屈で虚しい生活、そしてその生意気な表情を浮かべることも二度とできぬのじゃぞ」


 と、老人は低く重々しい声で語りかける。


「覚悟はもうできてる」


 と、少年は固い決意を口にすると、老人はにんまりと笑みを浮かべ


「ならば、お主は腰抜けだが、特別な訓練を授けよう。本物の戦士となるための修行をな」


 と言い捨てると、彼は階段を下り始めた。

 しばらく進むと、壁に刻まれた6()4()()との標識の横を過ぎ、さらに3階層ほど下る感覚を味わうと、最深部の6()5()()と書かれた、錆びた古びた標識がひっそりと存在していた。

 その錆びた標識は、年月の重みを物語るかのようにひび割れ、壁一面に大きな×()印が刻まれているのが目に入った。

 まるで、かつての栄光と苦悩が重なり合った戦場の傷跡のようだった。

 階段を全て下り切ると、そこにはまるで神殿のような荘厳な空間が広がっていた。床は艶やかな大理石のように輝き、無数の太く高い柱がまるで守護神の如くそびえ立っている。

 天井は、先ほどまでの階層で見た錆びた壁と同じ素材で造られており、上部はただの無機的な壁に過ぎなかったが、下部の2/3は純白の光を放ち、あたかも雪に覆われた大地のように清らかであった。

 しかし、その白さは決して人工的な塗装ではなく、じわじわと繁殖する神秘的なカビのように、時の流れに逆らうかのように存在していた。

 そして、その空間の最も奥の壁に、まるで呪われた血のような赤で彩られた、ひときわ異様な門がぽつんと佇んでいた。


「魔法、そして魔力というものは聞いたことがあるか?」


 突然、フレイが厳かな声で問いかける。


「はい。あの門を通るためにも魔法が使われたのですよね? 先ほどツィアが……」


 少年はためらいながらも確認する。


「その通りじゃ。そして、わしもその力を扱えるのじゃ」


 フレイは静かに目を閉じた。その瞬間、空間がわずかに震え、冷たい風が足元から吹き上がる。

 彼の手がゆっくりと前に伸ばされると、まるで目に見えない糸が世界の法則を引き裂くかのように、空気がざわめき始めた。


 ——突然、少年の身体を中心にして、激しい渦が巻き起こる。

アドバイスや感想を是非気軽に書いてください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ