地下都市17
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こうしてなんとか無事に家へ帰ることができたが、その心の内は複雑なものであった。
家に到着すると、外は既に朝の光に満たされ、賑やかな声が一斉に響き渡っていた。
まるで、世界が新たな希望と共に目覚めるかのような光景だった。
家の中に一歩足を踏み入れると、さきほどの老人が静かに座っているのが目に入った。
「待ち侘びたぞ」
「ええと…なんでいるんですか?勝手に家に入ってくるのはやめてもらえませんか?さっきは助けていただいたのは感謝していますが、どうか帰ってください」
と、少年は力強い声で彼に詰め寄る。
鋭い眼差しと、怒りを秘めた瞳が相手をにらみつける。
その一方で、朝の穏やかな空気が一瞬にして不穏な緊張感に包まれていくのが感じられた。
「お主は短気じゃのう。まったく、訓練をするんだろう?だから待っていてやったのじゃ」
と、老人はにこりと笑みを浮かべながらも、どこか慈愛と厳しさが混じった口調で答えた。
「あなたは講師なんですか?」
と、驚きを隠せないまま尋ねると
「当たり前じゃろう。そんなことも知らぬとは、まったく飛んだ腰抜けだな。さあ、早く行くぞ。訓練に行くんだ」
と、まるで自らの誇りをさらけ出すかのように、老人は厳命した。
「え、ちょっと…もう行くんですか?」
と戸惑いながらも、心のどこかで訓練への挑戦に胸を躍らせる自分がいた。
「今行かぬとどうする?さあ、行くぞ、腰抜けが」
と、言い放たれると、先ほどの不意の言葉が少年の胸に深く突き刺さる。なぜ、なぜこの老害が誰も尋ねていないのにも関わらず自己顕示欲を爆発させて勝手に自己紹介をしてきたのか…その理由がわかった。
引き下がりそうにないので、とにかく今は大人しく訓練に従い、老人の後を追うことに決めた。
家を後にし、螺旋階段の方へと向かうと、階段の入り口でふと背後から見送るような視線を感じた。
— μετά—
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