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地下都市8

なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。

     → 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/

「君も見たところ、その潜在能力を秘めた者であるようだ。

 君が鍛錬を積むならば、やがてこの程度の魔法は使いこなせるようになるだろう」


 その瞬間、これまで彼の頭の中を駆け巡っていたあらゆる疑問は、ひとつの確かな答えへと収束したかのように感じられた。


 混乱と不安に満ちた思考が、一瞬にしてクリアな光となり、真実の一端が彼の心に差し込んだのだ。


「では、あの扉もまた魔法の応用ということですか?」


 と、少年は尋ねる。

 その問いに対して、彼はにっこりと微笑みながら答えた。


「おぉ、察しがいいな。そうだ。あの扉は、位置を入れ替えるという魔法の応用例のひとつだ。

 この力は、用途の広さにおいて実に万能であり、状況に応じて様々な形で応用が可能なのだ。

 神の力の一端を知り、その一端を行使することによって、我々は常に神との深い繋がりを感じることができる。

 つまり、神の恩寵を受け、この力を宿している者こそ神に選ばれし誇り高き“人間”であることの証明、存在の根源となるんだ」

「では、この国の全ての人間が、その魔力が備わっているということですか?」

「ああ、まさにその通り。この世のすべての()()は神によって創られ、神の加護を受けている」


 その瞬間、突然、扉の方から数名の兵士が来る気配を感じた。


 彼らは全身を純白の装束で包み、頭部には洗練されたヘルメットを被り、流れるようなマントを羽織っていた。

 その姿は、人間らしさを超え、まるで神話の英雄や天界の戦士のような荘厳さと神秘性を漂わせ、見る者に深い感動と威厳を与えた。


 その中の一人が、低く、しかし鋭い囁き声で耳元に告げた。


「ウィリアムズ卿。少し、問題が…」


 その囁き声に、彼はすぐに理解を示し、わずかに表情を曇らせながらも、即座に返事をした。


「わかった」


 その言葉を聞いた途端、彼は今までの穏やかな顔立ちとは打って変わり、焦りと緊張が入り混じった険しい面持ちに変わった。


「申し訳ない。急用が入ってしまったから、一旦、私は失礼する。今日のところは家に戻ってくれるかい?」


 と、男は低い声で告げると、颯爽と扉の方へ歩み出し、姿を消してしまった。

 残された部屋には、再び静寂が訪れた。





  — μετά—

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