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地下都市5

なろう作品らしい表現でふわっと投稿するなろう特有の少年の一人称視点的作品が見たい人はこちらもどうぞ。

     → 恢攘のフォクシィ https://ncode.syosetu.com/n3085kf/

「私も……兄に…ついていく。覚悟は…できている」


 人前で話すのを避けてきた彼女が、片言ではあったが、こうしてはっきりと意志を示すのは初めてだった。

 それだけでも驚きなのに、自分のことを兄と認めてくれているとは……。

 少年はその一言で、一瞬頭が真っ白になりかける。


 ——ってか、可愛すぎだろ……!


 心の中でそう叫ばずにはいられない。


「わかった。ではまず少年、君には“レヴィカティオ”という名前を与えよう。

 そして、少女の方にはツィアという名を授ける。

 これで君たちは、名を持つ者として新たな人生を歩み始めることになる。

 そしてさらにもう一つ。

 今日この瞬間から、君たちは正式にの住人として認められる。

 今後、どこかで自らの出身を名乗る機会があれば、ここを故郷として名乗るがいい。それが、この国の一員である証となるのだ」


 そう言いながら、彼は一息つくと、まっすぐこちらを見据えた。

 重厚な雰囲気を持つその眼差しは、まるでこちらの心の奥底を見透かすかのようだった。

 まるで、ここで何を語るべきか試されているような、そんな空気が張り詰める。


「さて、ここまでで何か質問はあるかね?なければこれにて閉廷するが…」


 と、彼は静かに問いかけた。

 その言葉を受けて、少年は考えを巡らせた。


 ここに来てから、目の前に広がる光景のすべてが、常識では考えられないことばかりだった。

 特に、この場に到着した時に目にした、まるで天空に浮かぶようなこの場所。

 常識的に、そして理論上ならありえないことだ。


 だが、それがこうして現実として存在している以上、何かしらの理屈があるのではないか。

 そうして、意を決して口を開いた。


「ここは……僕の考えが正しければ、浮島のような場所だと思うのですが、どうやってこれを浮かせ、そしてそれを維持し続けているのですか?」


 すると彼は、少し驚いたように眉をわずかに上げた後、軽く頷いた。


「ふむ、なるほど。やはり気になるか。それも説明せねばならないな」


 彼は少し間をおき、目を細めながら静かに言葉を紡いだ。


「しかし、その話をする前に、まずは審問会を終えるとしよう。

 君たちがここに迎えられたことは正式に決定された。

 あとは細かい説明が必要だな。浮島のことも含めて、順を追って説明する。

 まずは私についてきてくれ」





  — μετά—

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