地下都市5
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「私も……兄に…ついていく。覚悟は…できている」
人前で話すのを避けてきた彼女が、片言ではあったが、こうしてはっきりと意志を示すのは初めてだった。
それだけでも驚きなのに、自分のことを兄と認めてくれているとは……。
少年はその一言で、一瞬頭が真っ白になりかける。
——ってか、可愛すぎだろ……!
心の中でそう叫ばずにはいられない。
「わかった。ではまず少年、君には“レヴィカティオ”という名前を与えよう。
そして、少女の方にはツィアという名を授ける。
これで君たちは、名を持つ者として新たな人生を歩み始めることになる。
そしてさらにもう一つ。
今日この瞬間から、君たちは正式にの住人として認められる。
今後、どこかで自らの出身を名乗る機会があれば、ここを故郷として名乗るがいい。それが、この国の一員である証となるのだ」
そう言いながら、彼は一息つくと、まっすぐこちらを見据えた。
重厚な雰囲気を持つその眼差しは、まるでこちらの心の奥底を見透かすかのようだった。
まるで、ここで何を語るべきか試されているような、そんな空気が張り詰める。
「さて、ここまでで何か質問はあるかね?なければこれにて閉廷するが…」
と、彼は静かに問いかけた。
その言葉を受けて、少年は考えを巡らせた。
ここに来てから、目の前に広がる光景のすべてが、常識では考えられないことばかりだった。
特に、この場に到着した時に目にした、まるで天空に浮かぶようなこの場所。
常識的に、そして理論上ならありえないことだ。
だが、それがこうして現実として存在している以上、何かしらの理屈があるのではないか。
そうして、意を決して口を開いた。
「ここは……僕の考えが正しければ、浮島のような場所だと思うのですが、どうやってこれを浮かせ、そしてそれを維持し続けているのですか?」
すると彼は、少し驚いたように眉をわずかに上げた後、軽く頷いた。
「ふむ、なるほど。やはり気になるか。それも説明せねばならないな」
彼は少し間をおき、目を細めながら静かに言葉を紡いだ。
「しかし、その話をする前に、まずは審問会を終えるとしよう。
君たちがここに迎えられたことは正式に決定された。
あとは細かい説明が必要だな。浮島のことも含めて、順を追って説明する。
まずは私についてきてくれ」
— μετά—
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