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モモンガー01  作者: 眠田 直
1/10

第1話:ファーポイントでの遭遇(1)

挿絵(By みてみん)

イラスト:Kiichi

 「くっ殺せ!」


 ここはタルホの森の入り口に近い荒れ地。

 エルフの女剣士が、十数匹の小鬼(ゴブリン)達に仰向け状態で手足を押さえつけられていた。


 「おいおい、今どき『くっころ』だってよ」

 「頭の中が10年古いな」

 小鬼(ゴブリン)達は嘲笑した。


 そしてその着衣は無残にも引き裂かれて……は、いなかった。

 もともと乳と腰を覆っただけの服、いわゆるビキニアーマーを身につけていたのだ。


 「あ、あなた達、私にイヤらしい事をするつもりね」

 エルフは動揺しながらそう尋ねた。

 「まぁ、それが定番だからな」と小鬼(ゴブリン)の一匹がニヤニヤ笑いを浮かべながら答えた。

 こういう事には慣れているようだ。


 別の一匹が大声で叫んだ。

 「へーい、ボス。準備ができましたぜ」


 小鬼(ゴブリン)達のボス、巨大な体躯のオークが、のっそりと姿を現した。

 「記録水晶は持ってきているな?」とオークは確認した。

 「へいボス、もちろんです」

 エルフは疑問に思った。

 「記録水晶? なんでそんなものを?」

 「オークとエルフの絡みを記録した水晶は、人間の貴族どもに高く売れるんだよ」とオークは、吐き捨てるようにそう告げた。

 「ええええっ!?」

 単に貞操の危機だけでは済まなかったようだ。


 オークは腰布を脱いだ。その男根はすでにいきり立っていた。

 「…そ、そんな大きいの入らないわよ! 私まだ処女なのよ」

 エルフはうろたえた。

 「ほう、生娘か。そいつはますます高値がつくというものだ」

 オークは部下の小鬼(ゴブリン)に命じた。

 「そうだ、コンドームを持ってこい」

 「へいボス、ここに」

 「え? 避妊してくれるの?」

 エルフは不思議に思った。こういう場合、普通は魔物の子を孕ませられるからだ。

 「違う」オークは否定した。

 「こんな野育ちのエルフ、どんな病気を持ってるかわからんからな」

 「失礼ね!」

 エルフは顔を真っ赤にして怒った。


 その時である!


 ばるん、ばるん、ぶろろろろー!


 この世界(ガロンドン・コア)には存在しないはずのオートバイの轟音が響いた。

 しかも白と青に塗り分けられたサイドカーだ。


 運転していたのはガッシリとした身体つきの獣人。小動物系の顔なので、その風貌からは年齢を読み取れない。

 獣人はサイドカーから降りて、ゆっくりとオーク達の方へ歩みよった。


 せっかくのお楽しみを邪魔されて、オークは語気を荒めた。

 「な、なんだお前は?」

 「俺の名はモモンガー01! 通りすがりの、風来坊さ」


 小鬼(ゴブリン)達に動揺が走った。

 「ももんがぁ? あのドラゴンに匹敵すると言われる神獣ももんがぁ?」


 エルフは期待した。

 (神獣ももんがぁ! 私、助かるかも…)


 獣人はオークを見据えて、落ち着いた口調でそう言った。

 「俺は『正義の味方』ってガラじゃねぇが、さすがにこの状況を見過ごすわけにはいかねぇな」

 荒事には慣れているようだ。


 オークは「よくも俺たちの計画の邪魔をする気だな!」というジュラル星人のようなセリフを吐くと、傍らに置いてあった棍棒を手に取った。

 その棍棒には、今まで屠ってきた獲物の血が黒く染みついていた。

 相当使い込まれた武器だ。こちらも戦いには慣れているらしい。


 そして、その体躯からは想像できない機敏な動きで、獣人の頭を狙って振りおろしてきた。

 だが獣人は、事もなげにその攻撃をスッと交わし、オークの股間の半勃ちになってるナニに、強烈な蹴りを一発入れた。


 「くぁwせdrftgyふじこlp」


 オークはあまりの痛みに、わけのわからない呻き声をあげた。


 相手が隙だらけになったのを見て、獣人はトドメを刺すことにした。

 稲葉ジャンプをトントンと二回繰り返し、三回めの跳躍からのクロスチョップ!

 「ブラストエンド!」

 それが獣人の必殺技だ。


 「ぐええええええええええええっ…」


 強烈な電撃と衝撃波が、オークの全身を内部から焼きつくした。

 死期を悟ったオークは、よろよろと荒野の方に歩き出し、

 「オーク軍団 万歳!!」と、最後の気力で叫び大爆発した。


 小鬼(ゴブリン)たちはひそひそと話しあった。

 「え? 俺らって『オーク軍団』やったん?」

 「知らんがな」

 「それにしても、あの獣人、めちゃ強いやん」

 「戦う?」

 「よそう。絶対負ける」

 「そやな」

 「逃げよう」

 「了解」


 小鬼(ゴブリン)たちは獣人に追ってこられないように、バラバラな方向に逃げ去った。


 獣人は小鬼(ゴブリン)たちには興味が無いらしく、倒れているエルフに声をかけた。

 「無事か?」

 獣人は優しくエルフの手を取り、立ち上がらせた。

 「ありがとう」

 そう言うとエルフは、服に付いた土をパラパラと払い落とした。

 もっとも、服の面積はさほど無いのだが…。


 「助かったわ。さすがは『神獣ももんがぁ』ね」

 エルフはホッとした表情でそう言った。

 「私はエルフの剣士、リンゼイ・グーリンよ。『リン』って呼んでね」

 「さっきも名乗ったが、俺は『モモンガー01』だ。『ゼロワン』と呼んでくれ」

 「はいっ、ゼロワンさん」

 …と、リンが答えると、ゼロワンはニヤリと笑い、

 「『さん』も付けなくていい。俺はただの風来坊だからな」とつぶやいた。


 ゼロワンは辺りを見回すと、

 「ここは休むには殺風景すぎるな。いい休憩場所を知ってるから、そっちへ行こう」と提案した。

 そしてリンに「ここに座ってくれ」と側車部分を指さした。


 リンは「ちょ、ちょっと待ってね」と言うと、小鬼に荒らされた荷物や剣を拾い集めた。


 ゼロワンが「それで全部か?」と尋ねると、リンは「うん、無くなった物は無いわ」と言って、剣と荷物を大事そうに抱えて側車部分にちょこんと座った。


 「じゃあ、行くぞ」

 ゼロワンはサイドカーのエンジンを始動し、アクセルを入れた。

 初めて乗るリンのために、スピードは控えめにした。そのおかげで会話も可能だった。

 リンはサイドカーに興味津々のようだ。

 「これはなんて乗り物?」

 「サイドカーというマシンだ」

 「この世界(ガロンドン・コア)のものでは無いわよね?」とリンは尋ねた。

 ゼロワンは事もなげに、

 「ああ、チーキュのニッポンポンという異世界で手に入れたものだ」と答えた。

 「ニッポンポン? どこかで聞いたような…」

 リンは思い出そうとしたが、頭の中から出てこなかった。

 「本来はガソリンという特殊な油で動かすものだが、こちらでは入手できないので、俺の魔力で走らせている」

 リンはそれを聞いて驚き「えっ、ゼロワンって魔術師なの?」と問いただした。

 「…いや、魔法の初歩をかじったくらいだ」

 リンは(謙遜してるな)と見破った。この獣人、只者ではない。

 「それに、異世界に行ったことがあるなんて…。どういう方法で?」

 ゼロワンはまたニヤリと笑い「…それは、秘密だ」とはぐらかした。


 謎の多い風来坊(ヒーロー)だった。


はじめまして! 眠田直と申します。

漫画家やライターを経て、今の本職はゲームデザイナーなのですが、忘れもしない昨年2022年7月22日に創作の神様から「獣人とエルフが仲間になってお宝を取りに行く話を書きなさい」という天の声が降ってきちゃいました。

しかも「なろう系小説」で書けと…。


今まで一度も小説を書いたことが無かったので、セリフ多め&地の文少なめになってしまいましたが、まぁゼロワンとリンの冒険旅行を、作者も楽しみに書いていこうと思ってます。応援よろしくです。

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