表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

5話 新しい自分

 僕は大事なものを失った。今までは輝いて見えた高校生活が、色あせてしまった。テニスのことも、金子先輩のことも、考えないようにしたかった。今までは興味がなかったスマホゲームをしたり、むしろ勉強に打ち込んだりした。


 ただ、なんとなく、誰とも話したくなかった。もともとおしゃべりではなかったし、友人も多くはなかったが、休み時間など、友人同士が語り合っているのを見ても、自分がそうしたいとも思えなかった。


 そんな僕だが、たったひとつ、趣味と呼んでもいいものがあった。イラストを書いて、ノートに書き込んでいた。美少女が特別好きなわけではないが、題材としては一番無難に思えたので、よく美少女を描いていた。


 そんなとき、ミヤチョがいつもそうしているように、机の上に片膝を立てて、友達相手に軽口を言っていた。その構図が、なんとなく面白そうに思えた。


(忘れないうちに、この構図を書いておこう)

 そんなふうに思って、ネタ用に使っているノートにミヤチョのポーズや髪型を真似た絵を描いていた。


「これ、あたしのことでしょ?」

 ささやくミヤチョの声に、思わずのけぞった。いつの間にか彼女は隣にきていたんだ。

「可愛く描いてくれてありがとう。」

 そう言うと、彼女は軽く手を振って友人の輪の中に戻っていった。


(まずい、誤解されないかな?)


 後日、ミヤチョに話しかけられた。

「原田君、絵を描いたら、どこかに投稿してるの?」

「投稿?なにそれ?」

「あたしね、自分では描けないけど、見るのは好きだから、ほら、こういうところ」

 ミヤチョが見せてくれたスマホの画面には、イラスト投稿サイトがあり、様々な題材の絵が投稿されていた。


「これやんなよ。きっと、原田君に向いてるよ?」


 僕には、まだやれることがある。ミヤチョがそれを教えてくれた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ