ピパロン王国警備隊 第17話 ルミ隊員のわらしべ長者
〇始まりのハンカチ
ルミ隊員「やばい!出勤時間に間に合わない!どうしよう~」
女「う、ううっ...ヒック、ヒック...」
ルミ隊員「どうしたんですか。」
女「大切にしていたマグカップを割ってしまって、なんだか悲しくなってしまって・・・」
ルミ隊員「なんだ、そんなことですか・・・では、急いでいるので。」
女「なんだとはなんですか(ギロり)、あ~、もう、人生終わりだ~、う、ううっ...ヒック、ヒック...」
ルミ隊員「あ、いや・・・ハンカチどうぞ!」
女「ありがとうございます!」
ルミ隊員「じゃ、急いでるので。」
女「待って下さい!これ、どうぞ。」
ルミ隊員「これは、唐揚げ...別にいいですよ。」
女「いいえ!ハンカチを濡らしてしまったので、その代わりに。」
ルミ隊員「ありがとうございます。(急がなきゃ行けないから、貰お。)」
女「では!」
〇唐揚げ
ルミ隊員「...私も急がなきゃ!...キャ!」
ニャー ニャー
ルミ隊員「猫?ああっ!唐揚げが、食べられてる!待ちなさい!猫ちゃん!」
おばさん「うーん...」
ルミ隊員「よし!捕まえた!」
ニャー ニャー
おばさん「ああっ!あなたが捕まえてくれたのね!」
ルミ隊員「もしかして、飼い主ですか?」
おばさん「そうなのよ!家のマシュが1日前から居なくなってて。」
ルミ隊員「そうなんですか。」
おばさん「マシュは、家族の一員なんだからね~。どうやらマシュがあなたの唐揚げを食べてしまったようね。なら、マグカップをあげるわ」
ルミ隊員「マグカップ?要りませんよ。」
おばさん「いいのよ。そうするつもりだったから。」
ルミ隊員「(腕時計チラッ。もうこんな時間!)ありがとうございます!」
ダッシュ!
〇マグカップ
ルミ隊員「ハァ、ハァ。」
トーマ隊長「遅いじゃないか、ルミ隊員。」
ルミ隊員「いや~。色々あって。マグカップをもらったんですよ。」
トーマ隊長「おお、丁度いいな、貸してくれないか?」
ルミ隊員「嫌です。トーマ隊長の事なので、屁理屈な事を言ってずっと使うんでしょうか!」
トーマ隊長「いつからそんな風に覚えたのか。この焼肉半額チケットで許してくれよ。」
ルミ隊員「...許します。」
トーマ隊長「今から行けばいいじゃないか。」
ルミ隊員「えっ、今から!?」
〇半額チケット
サラリーマン「どうしよう、どうしよう...」
ルミ隊員「どうしました?」
サラリーマン「実は、急に上司命令でお得意先様を焼肉接待したのですが、支払いのとき、持ち合わせが足りないことに気付いたのです。」
ルミ隊員「カードとか、キャッシュレス決済にしたらどうですか?」
サラリーマン「この店は、キャッシュレス決済は一切対応していないのです。」
ルミ隊員「では、お得意先様に事情を説明して払ってもらうしかないですね。」
サラリーマン「とんでもない!そんなことしたら取引を打ち切られて、私はクビです。いや、会社が倒産するかもしれない、ブルブルブル・・・」
ルミ隊員「・・・焼肉の半額チケットもってますけど、使いますか?」
サラリーマン「おお、これがあればなんとか足りそうです!でも、いいのですか?」
ルミ隊員「いいですよ、もともとハンカチ1枚だったし。」
サラリーマン「ありがとうございます!この御恩は一生忘れません!」
ルミ隊員「では、私はこれで・・・」
サラリーマン「待ってください!お礼にこのオルゴールを差し上げます。ピアノン王国の評判のオルゴール職人が作った極上の逸品です。」
ルミ隊員「え、いいのですか?」
サラリーマン「勿論ですとも!この窮地を救ってくれたのですから安いくらいです。」
ルミ隊員「そうですか、ではいただきます。」
サラリーマン「ありがとうございました!」
〇オルゴール
ルミ隊員「今日は何だか色々ある日ね~」
トーマ隊長「お、早いなあ。焼肉は美味かったか?」
ルミ隊員「実は、カクカクシカジカで。」
トーマ隊長「へー、それでピアノン王国のオルゴールをねえ~。」
ルミ隊員「あ、あげませんよ。オルゴールは。」
トーマ隊長「別にいらないよ。オルゴールは興味ないんだ。」
ピーンポーン、こんには~
誰かおるかの~
ルミ隊員「はい、ピパロン王国警備隊です・・・あ、王様!」
トーマ隊長「な、なんだって・・・こ、これはピパロン王、ごきげんうるわんこ☆*★&#」
ピパロン王「フォ、フォ、フォ~、今日は頼みがあってな。」
トーマ隊長「は、はい!いつでもなんでも頼みますです・・・」
ルミ隊員「(アチャー、また緊張してる)」
ピパロン王「ネル王妃がな、また、あのオルゴールのような、安らかな曲が聴きたい!と申して困っていたのだよ。また、ピアノン王国へ行ってオルゴールを作って貰いにいってくれないか?」
トーマ隊長「はい、喜んで!」
ルミ隊員「ピアノン王国のオルゴールならここにありますよ。」
ピパロン王「おお、これは正しくピアノン王国サルサの作品だ!ルミ隊員、これを譲って貰えないだろうか?」
ルミ隊員「はい、喜んで!」
ピパロン王「おお、これでネル王妃も喜ぶぞ~。ルミ隊員、とてもたすかったよ。お礼をしないとな。」
トーマ隊長「お礼なんて、そんな・・・」
ルミ隊員「それは私のセリフです!」
ピパロン王「フォ、フォ、フォ~、ルミ隊員には、金メダルを授けよう。」
ルミ隊員「ええ、私が金メダル!?」
ピパロン王「そうだ。この金メダルは使うこともできるぞ。100万円くらいかな?」
トーマ隊長「やったな!ルミ隊員!早速、焼肉屋でも行こう!」
ルミ隊員「ありがとうございます。この金メダルは大切に保管します。」
ピバロン王「フォ、フォ、フォ~」
〇金メダル
トーマ隊長「ホントに使わないのか?この金メダル・・・」
ルミ隊員「もちろん!家宝にします。」
トーマ隊長「そうか・・・ちょっと見せてくれよ。」
ルミ隊員「ダメです!なんか雑に扱いそうだし。」
トーマ隊長「ちょっとだけだよ、それっ!」
ルミ隊員「あーっ、引っ張らないで下さい!割れたらどうするんですか!」
トーマ隊長「大丈夫だよ。こういうのは割れないようにできているんだ。ほら、例えばこの金づちで叩いたって大丈夫。」
カーン、バリッ!!!
トーマ隊長「あ、割れた・・・」
ルミ隊員「ぎゃぁぁぁ!割れたーっ!!!」
トーマ隊長「あ、あれ?おかしいな?偽物なんじゃないか?」
ルミ隊員「うえーん、うえーん」
トーマ隊長「泣くなよ、ほら、このハンカチで涙をふいて・・・」
ルミ隊員「うえーん、うえーん」
トーマ隊長「いや、だから・・・このハンカチあげるからさ、許してくれよ~」
ルミ隊員「結局、ハンカチが戻ってきたのね・・・」
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