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亡命姫と冒険者の爺さん~ただの爺さんじゃねぇよ?~

作者: 藤本敏之

暇潰しに三時間かけて書きました。

マルグリア王国は今日も平和である…貴族の誰もがそう言うだろう。一見平和に見えるこの王国にも貧富の差は大いにあるもので…スラムで暮らす者達にとっては地獄と言って良い。税金の取り立ては国からはそんなに無いのに、貴族はそれに託つけて平民達から貪っている。そんな中でも平然と続けられている仕事はある。冒険者だ。気楽なもので、討伐依頼は貴族、平民問わず毎日受け付けているので、冒険者ギルドは今日も大忙し。そんな中、一つのテーブルに妙な爺さんと子供が座っている。爺さんは茶を飲み、子供は木苺のジュースを飲んでいる。

「じぃじ、きょうのしごとは?」

子供が口を開く。

「じぃじは今日は休みだぁ。たまには休まねぇと、身が持たねぇよ。」

茶を一口、味わうように口に運ぶ。齢70にもなるこの爺さん、特に金には困っていない。蓄えはあるにはあるが、宿屋でのらりくらりやっていては子供に悪影響を与えると思い、冒険者をやっている。子供の方は歳は3歳、この爺さんの孫である。

「じぃじ、やどへかえろー!」

「そうだな、めぼしい依頼もねぇし。よし、晩飯買ってけぇるか。」

そう言うと、孫を背中におぶり、席を立つ。


さて、一方マルグリア王国の城では1人の女騎士が姫と話をしていた。

「姫様、この国を出ましょう。」

「リーリエ…」

リーリエと呼ばれた女騎士は姫の手を優しく握り、

「国王陛下が病で倒れられ早10年、貴族共の無謀な税の徴収のせいで平民が暴動を起こすのも時間の問題…せめて姫様だけでも…」

そう告げる。

「…しかしリーリエ。この国を出て、どこの国がわたくしを匿ってくれると言うのです?」

「それは…」

「わたくしはこの国と共に死ぬべき…そう思うのです。」

「御痛わしい…」

リーリエは姫の手を離すと立ち上がった。

「リーリエ…?」

「このリーリエ・ウィッツバーグ、姫様の為に生きて参りました!姫様が死ぬと仰るならば、私も死にます!」

「なりません!貴女には貴女の未来が…」

「ならば御自身も生きることを考えてくださいませ!」

リーリエの心からの叫びに、姫であるシンシア・マルグリアは心に決めた。

「…解りました、共にこの国を出ましょう。」

「姫様!」

シンシアはリーリエに抱きつく。それを優しく受け止めるリーリエ。幼なじみでもある2人には信頼という言葉も霞む程の絆があった。


さて、宿屋に戻った爺さんは孫を寝かしつけると、1人窓の近くで酒を飲む。窓から月を見ながら酒を飲むのが日課であり、また1日の終わりを感じる楽しみでもあった。

「…きなくせぇ、せめてあと1年早くこの国に来てたら、救ってやれたかも知れねぇ。バスク…済まねぇなぁ。」

そう言って、爺さんはグラスの酒を一気にあおり、孫の寝ているベッドに横たわり、孫を抱き締めて眠りにつく。


さて翌日も爺さんはギルドに来ていた。それも朝早くから。孫は宿屋の女将に預けてきた。約3ヶ月泊まっているので、女将に孫も懐いていた。そしてめぼしい依頼を探すが、やはり無い。仕方なく孫にお菓子でも買って帰ろうとした時、1人のフードを深く被った女性がギルドの戸を開く。その女性は、受付へと向かい、受付嬢と話をする。

「隣国のバーレーン王国までの護衛を頼みたい、誰か腕の立つ冒険者はいないか?」

「そう言われましても…急な依頼は困るのですが…?」

「そこを何とか頼む。」

「うーん…そうですねぇ…あっ、バルトスさ~ん!」

受付嬢が爺さんへと手を振る。仕方なくバルトスと呼ばれた爺さんが其方へと向かう。

「何でぇ、ミカサの嬢ちゃん?」

「最近めぼしい依頼も無いってぶつくさ言ってましたよね?しかも今の話も聞いてたでしょう?」

「まぁ…其処らの爺婆よりゃ耳は良いからなぁ。」

「どうですか、受けませんか?」

「爺の俺ぁ、脚がこの嬢ちゃんより遅ぇ。しかも隣国のバーレーン迄となると、孫も連れてかにゃあならねぇ。そもそも何時、何時までにとか細部がわからにゃあ話になんねぇ。」

「出来れば今夜か明日の夜、期限は何時まででも良い。旅費は全て出すし…頼めないか?」

「…訳ありかぁ?」

そう言うと女は首を縦に振る。それを見て、バルトスは頭をポリポリ掻いて…

「ったく、しゃあねぇなぁ。詳しい話は知らねぇが、銀貨4枚で受けてやらぁ。」

「…なっ!?」

「なんでぇ、高ぇか?」

「違う、安すぎないか…?」

「どうせ道楽でやってる冒険者稼業だぁ…安いに越したこたぁねぇんじゃねぇの?」

「…ならば頼む。」

「解った。じゃあ明日の夜、ここへ来なぁ。護衛対象連れてなぁ。」

そこまで言うと、バルトスは踵を返して右手を振り振り、ギルドから出ていった。

「…大丈夫…なのか?」

「安心して大丈夫ですよ。バルトスさん、あんな人ですけど真面目に依頼はこなす方ですから。そうでなかったら、話はしませんよ。」

「しかし…直接依頼は違法では?」

「"依頼主に損はさせねぇ"。いつも言ってるバルトスさんの言葉です。それに、バルトスさんはぶっきらぼうですけど、私達も信頼していますから。」

「ではギルドに礼金を払う。幾らだ?」

そう言うと、ミカサは首を横に振る。

「言ったでしょう?バルトスさんを信頼していると。それに個人の依頼も、私達の前で依頼主との契約があった場合、免除されるんです。…知らなかったんですか?」

そう言われると、女は頷いた。

「まぁ、安心して明日の夜に来てください。」

そう言われて女は出ていった。


その日のうちにバルトスは宿屋の女将や店主、今まで故意にしてきた人々にあいさつ回りを済ませた。そして翌日の夕方、宿屋の前で女将に

「バルトスさん、寂しくなるねぇ。」

「あぁ、女将の優しさや料理の旨さ、絶対に忘れねぇよ。」

「バルキスちゃんに、ちゃんとご飯食べさせてやるんだよ。」

「勿論だぁ、俺の可愛い孫なんだからなぁ。」

バルキスと呼ばれた孫も、女将に抱きつきながら別れを告げた。

「おばちゃん、げんきでね!」

「あぁ、あんたもね。」

そうしてバルトスとバルキスはギルドに向かう。ギルドにはもう他の冒険者はいなかった。受付嬢が2人、出迎えてくれた。

「バルキスちゃん、これあげる!」

ミカサが袋を1つ、バルキスに渡す。開けると飴玉がぎっしりと入っていた。

「それと、これはバルトスさんに…」

もう1人の受付嬢がバルトスに酒瓶を渡す。

「おいおい、仕事に行くのに飲めってのかぁ?」

「野宿の際の気晴らしにって、ギルド長からの贈り物です。」

「…そうかい、有り難く受け取っとくわ。」

バルトスは酒瓶を腰にくくりつける。と、丁度その時、2人の女性がギルドに入ってきた。

「済まない、遅れたか…?」

そう昨日の女が話しかける。2人ともフードを深く被っていて、顔は見えない。

「いんや?で、そっちの嬢ちゃんが護衛対象かぁ?」

「…はい。」

女がそう返事をする。

「悪ぃが、急ごうか。夜の番兵がいつもの奴なら、問題ねぇんだがなぁ。」

バルトスは背中にバルキスをおぶって、2人を連れて出ていこうとする。

「バルトスさん、バルキスちゃん、お元気で!」

「またお会いしましょう!」

受付嬢2人に見送られ、4人はギルドを出た。


番兵はバルトスの知り合いで、顔パスで通してくれた。そこから約2時間、整備された街道を一路西のバーレーン王国へと向かう。と、丁度大きな大木が立っていたので、バルトスがバルキスを下ろして木の根にもたれ掛かる。

「バルトス殿…?」

「あんたは大丈夫そうだが、そっちの嬢ちゃんは辛そうだぁ。30分ほど休憩して、それからまた2時間歩く。その繰り返しの方が幾らか効率がいい。…ところで、そろそろフードを取ったらどうだぁ、シンシア姫さんにリーリエ騎士団長?」

バルトスにそう言われて2人ともハッとした。そしてリーリエが腰の剣に手を掛ける。その様子を見て、シンシアがリーリエを止める。

「バルトスさん…どうして…私が姫だと…?」

「ん~、雰囲気かなぁ?まぁ、あの国から出てぇ人間なんざ、2つに1つだぁ。1つは行商関係、もう1つは逃亡者だぁ。あんたらは少なくとも行商じゃねぇし、後者だと思ったし、逃亡するのもお偉いさんしかねぇとは思ったさぁ。で、半分は雰囲気でカマ掛けて見たら、すんなり吐いちまったぁ。俺にはどうでもいい話だが…そうだなぁ…姫さん、脚ぃ見せてみな。」

そう言うとバルトスはシンシアに近付き、まだ腰の剣に手を添えているリーリエにバルキスを差し出す。

「俺が妙な真似したらぁ、その子を殺せ。そんくれぇの覚悟はあるからよぉ。」

そう言うとバルキスをリーリエに渡し、バルトスはシンシアの脚の治療を行う。歩きなれていないシンシアの脚には、靴擦れとマメが出来ていた。

「無理させたなぁ。でもある程度マルグリア王国から出とかねぇと追手が直ぐに来るからなぁ。それに、こっからは森を歩くから、更に辛ぇ事になる。」

傷の消毒から包帯まで、手際よく行うと、バルトスはリーリエからバルキスを受け取る。何事も無かったかのように眠り続けるバルキスを見て、シンシアとリーリエは苦笑する。


それからも夜通し、休憩しながら西へと進む。治療を行いながら、森の中を歩き、洞窟を見つけて中へと入り、暫く4人共休眠し、昼頃出発する。食事は最低限の携行食を食べて、水分補給をして、漸くマルグリアとバーレーンの国境へと着いた。と、そこでバルトスが脚を止める。

「バルトス殿…?」

「…しっ!」

リーリエの言葉を止めて、バルトスが国境の関所を見る。普段、国境にはバーレーンの兵士しかいないはず。しかし、シンシアとリーリエが逃げたのが解ったのか、マルグリアの兵士達がいた。

「…チッ、どうすっかなぁ。」

「…バルトス殿、シンシア様を頼む。」

リーリエがそう言うと、立ち上がり関所へ向かおうとする。バルトスはそれを止めた。

「何する気だぁ…?」

「…シンシア様をバーレーン王国へ逃がすには、私が囮となるしかない…」

「そんな…!」

「おねぇちゃん、どっかいくの?」

シンシアとバルキスが心配そうにリーリエに言う。

「…シンシア様、リーリエは幸せでした。ですが、これでお別れです。」

「いやです!リーリエ、一緒に…!」

そう話す2人を見て、バルトスは頭をポリポリ掻いて言った。

「おいおい、リーリエさんよぉ。見くびんなって。」

「…バルトス殿?」

「俺ぁ、2人の護衛依頼を受けたんだぁ。姫さんだけ助けたら、そりゃぁ俺の任務失敗にならぁ。ここは俺に任せてくんねぇかなぁ?」

そう言うと、バルトスはシンシアにバルキスを預けて、単身関所へ向かい、兵士達と話をする。5分程話しただろうか…マルグリア王国の兵士がマルグリア王国へと引き返して行った。その様子を見て、バルトスが3人に向かって合図をする。そして何事も無かったかのように関所を通り、バーレーン王国領へと入った。

「バルトス殿…?」

「ん?向こうで怪しい2人組を見たって言ったら、いっちまいやがった。間抜けにも程があらぁなぁ。」

「しかし…バーレーン王国の兵士は…?」

「俺ぁ、バーレーン王国にも顔が利くんだぁ。」

そう言って、4人は歩き出した。


そこからは街道を真っ直ぐ西へと進み、2日後にはバーレーン王国に着いた。そして門番には冒険者章を見せて、護衛してきたことを伝えた。

「解りました、ゆっくりと休まれて下さい。」

嫌に丁寧な門番だなぁとは思ったが、シンシアもリーリエも疲れきっていた。仕方なく、バルトスの知り合いの宿屋に泊まることになった。そこでゆっくりと休み、次の日の朝、冒険者ギルドに行き、依頼の完了報告をして、別れの時が来た。

「おねぇちゃんたち、げんきでね!」

バルキスが2人に抱きついてわんわん泣く。

「バルキスちゃんも…」

「有り難う…」

そして離れて、シンシアとリーリエがバルトスの方を向き、

「道中有り難う御座いました。」

「なぁに、仕事だぁ。」

「貴殿には感謝してもしきれない。」

「言ったろ?仕事は真面目に正確に…だぁ。2人も達者でなぁ。よし、バルキス。俺達も家にけぇるかぁ。」

そう言うと、バルトスはバルキスをおぶって街の人込みの中へと消えて行った。その背中に2人は深々と頭を下げた。


さて、バーレーン王国の城の前までやってきたシンシアとリーリエ。門番に亡命してきたと伝えると、門番は慌てた様子で中へと案内する。

「…おかしい。」

「リーリエ…?」

「普通、もっと慎重に判断されるかと思ったのですが…?」

「確かに…ですが、身分証明のための指輪も見せたからでは…?」

城の中の客間に通され、身体を清めた後、着替えを貰い、それに着替える。そうしているうちに、侍女が1人やって来た。

「シンシア姫様、リーリエ騎士団長、国王陛下が御目通りなさるそうですので、謁見の間へお越し願います。」

そう言われ、2人で謁見の間へ行くと、多数の兵士が謁見の間にいた。玉座と扉の間まで進み、膝を着く。

「ふむ…シンシア姫、リーリエ騎士団長、面をあげよ。」

そう言われ、顔をあげる。

「余がバーレーン王国国王、ザンバル・バーレーンである。」

若い国王にそう言われて萎縮してしまったが…

「マルグリア王国、シンシア・マルグリアで御座います。」

「マルグリア王国、騎士団長、リーリエ・ウィッツバーグです。」

と、返す。

「ふむ…して、要件は?」

「この国に亡命したく、馳せ参じました。」

「…」

「国王陛下、私達の国は、最早貴族の悪政により滅びる直前なのです。しかし…血脈を潰えてはいけないとの父の言葉を受け、亡命に参りました。何卒…」

「解った。」

「…やはり…無理ですか…」

「姫よ、勘違いしておらぬか?解ったと申したのだぞ?」

「え…?」

「別に其方の国と一戦交えるでも無し。余にとって別に問題はない。疲れたであろう?ゆっくりと休まれて、これからの事は後日話す、それでよいかな?」

「しかし…簡単にどうして受けて頂けるのですか?」

疑問に思っていると、ザンバルが笑いだした。

「くはははッ!父上、これ以上は無理です、耐えれません!」

ザンバルがそう言うと、玉座の後ろからバルトスとおぶわれたバルキスが現れた。ゆっくりとバルキスを下ろすバルトス。バルキスは走り出して、

「シンシアおねぇちゃん、リーリエおねぇちゃん!」

2人の元へと行き、抱きつく。

「バルキスちゃん!?」

「…と、言うことは…!?」

バルトスは頭をポリポリ掻いて言った。

「バーレーン王国前国王、バルトス・バーレーンだ。」

そして2人に抱きついていたバルキスも離れて、

「バーレーンおうこくだいいちおうじ、バルキス・バーレーンです。」

と、可愛く挨拶をした。

「ふむ…父上も人が悪い。帰ってくるなり、マルグリア王国の姫君と騎士団長を連れてきたから亡命を受け入れろとは。」

「いいじゃねぇかぁ、俺ぁ、もう引退した身だぁ。決定権はおめぇにあるんだ、息子よ。」

「バルトス…様…?」

「おっと、シンシア嬢ちゃん、今言った通り俺ぁ先王だぁ。前みてぇにさん付けでいいぜぇ。」

「そんな…」

「全く…父上とバルキスには驚かされましたよ。2人から話も聞いていますし、シンシア姫、リーリエ嬢、2人の亡命は受け入れますよ。」

「良かったなぁ、嬢ちゃん達。」


バルトスが事の経緯を話した。何でも、3ヶ月前にシンシアの父、マルグリア王国国王、バスク・マルグリアから書状が届いたらしい。そこには自分は長くないから娘を頼むと記されていたらしい。

「で、俺ぁ息子に家督譲って暇だったからよぉ、冒険者やってたんだぁ。まぁ…まさか本当に亡命するたぁ思ってなかったがなぁ。」

バルトスは受付嬢から貰った酒をのみ、バルキスはコロコロとミカサから貰った飴玉を舐めていた。

「でまぁ、今回の事に繋がるってぇ話だぁ。でな、俺からもう話しちまうが、シンシア嬢ちゃん、息子の嫁に来ねぇか?」

シンシアとリーリエはキョトンとした。

「バルキスはザンバルの弟夫婦の子でなぁ。風来坊に夫婦で冒険者やってるし、バルキスの王位継承権はそのままにする。でもなぁ、あんたにゃそれそうなりの旦那を見繕う必要があらぁなぁ。で、ザンバルはまだ未婚だし、歳も22歳だぁ。どうだい、嫁に来ねぇかぁ?」

「そんな…恐れ多い…」

「まあゆっくりと考えたらいい。でだ、リーリエ嬢ちゃん、あんたにゃやって貰いてぇことがある。」

「な…何でしょう…」

「そう萎縮しなさんなぁ、ザンバルとシンシア嬢ちゃんが結婚したら、その近衛隊長やってくれって話だぁ。」

「私が…ですか!?」

「それが無理ならこのバルキスの騎士でもいいぜぇ。」

「…」

「…」

「まぁ、断ってもいい。あんたらの人生だぁ、自分で決めたらいい。ゆっくりとなぁ。」

そう言って、ハッハッハッと大声で笑うバルトス。そうこうしているうちに夜も更けて行った。


その後、シンシアはザンバルと結婚し、1男1女をもうけた。リーリエはシンシアとザンバル、そしてバルキスの近衛隊長となった。忙しい方がいいと本人が希望したからだ。バルキスは国王へ着任した。シンシアとザンバルの子供はそのバルキスを盛り立てた。マルグリア王国はシンシアとリーリエが亡命した2年後、バスク・マルグリアの死と共にバーレーン王国に戦争を仕掛けてきてそのまま敗北、バーレーン王国の領地となった。ザンバルの弟夫婦もたまには帰ってきていた。余談だが、マルグリア王国との戦争の功労者はこの2人である。そして…バルトス・バーレーンは20年後の90歳の誕生日の日、静かに息を引き取った。安らかな顔であり、多くの人に囲まれての大往生だった。最後まで冒険者を続け…多くの人を助けた…そんな爺さんの物語である。


ー 完 ー

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