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第89話 国王との会話

 翌日、目覚めた僕は客室で朝食を食べた。

 やはり身体の不調はあったが、疲労は回復した。


「国王陛下のお呼びがかかっております」


 侍女の人の言葉に従い、階段を上がり移動する。

 前に一度通った事がある。

 王様の執務室への道だ。


 途中でカエデとウガガウとも合流した。

 二人も王宮の客室で一夜を過ごしたようだ。


「リンクス、大丈夫?」


「何とかね」


 心配そうな顔のカエデ。


「大丈夫さ。じっとしてなんかいられない」


 しっかり上を向いて、笑顔を見せる。

 身体的には好調とは言えないが、気力は充実しているつもりだ。

 何とか堕天の魔王からこの大陸を守りたい。


 三人で国王の執務室に向かった。


「大変だったな」


 国王は僕達を笑顔で迎えてくれた。


「港町マイリスでは三人とも有名だ。

 リンクスのユニークスキルもそうだが、サムライ、カエデとバーサーカー、ウガガウの活躍も聞き及んでいる。

 お前達を失わずに済んでよかった」


 一人一人の手を握り、ねぎらってくれる。


 口だけでなく、二人の事もかなり調べてあるのだろう。

 態度には出していないが、ウガガウが皇女である事も、もちろん知っている。


「しかし、エーメがまさか魔王に通じていたとは。

 本当にすまなかった」


 頭を下げる国王。


「あいつは本当に優秀な人材だったのだ。

 まさか人間ではなかったとはな」


 彼は昔から人間に成りすましていたのだろう。

 天使のやる事なんて、分からなくても仕方がない。


「その魔王と帝国のクーデターに繋がりがあったらしいな」


「あと僕の持っていた古代魔法もです」


「ほう?」


 言い辛い事だったが言わなければ。

 僕は国王にこれまでの事を話した。


「そうか。お前の所持していた古代魔法が奪われたのか……」


 さすがに渋い顔になる国王。


「リ、リンクスは何も悪くないんです。

 エーメ大臣とグラムとかいう人が悪いんですよ!」


 カエデが語気を強めて弁護してくれる。


「いいんだ。僕がうかつだったのは間違いない」


「いや、それでお前を責めるのはお門違いだ。

 エーメを大臣に任命したわしの責任だ」


 何年生きているか分からない、アークエンジェル、エーメの本質を見抜くのは至難の業だ。

 王様を責めるのもお門違いだと思う。


「しかし、リンクスよ。

 古代文明の事となってはもう、彼を呼ぶしかあるまい」


「彼?」


「もちろん、考古学者のレイナード=リーグル博士だ」


 それは僕の父親の名前だった。


「勇者の剣にナノマシン技術が使われていると言ったのだろう。

 ナノマシン兵器についても情報を持っているのではないか」


 そう言えば以前、勇者の剣がナノマシンコーティングされている。と言った父の話をした事があった。


 さらに言うと、父はMPと呼ばれる魔法を使うためのエネルギー、魔素の事を、ナノマシンと言う小型機械だと言っていた。

 そして、グラムはナノマシン兵器を、周囲の全てを魔素に変えるものだと言った。

 父の学説が裏付けられた形だ。

 確かに父はナノマシンについて詳しそうだ。


「博士ならナノマシン兵器への対策が分かるのではないか?」


 ナノマシン兵器への対策。

 それが分かれば大陸の危機を回避する事ができる。


「リーグル博士の知恵を借りたい。

 シャオンス村に向かうのだ」


 確かに父が必要な知識を持ってる可能性はある。


「でも、父が応じるかは保証はできませんよ」


 僕の父は帝国の皇帝に逆らったり、光明教に逆らったりで、いろいろな勢力と折り合いが悪い。

 そして、そんな父は頑固で偏屈なのだ。


 シャオンス村から出たがらない事だって予想される。


「世界の危機にそんな事は言ってられん。

 命令だ。必ず博士を連れて来い」


 人当たりのいい王様には珍しい、有無を言わせぬ口調だった。

 確かにそんな事は言ってられない状況だ。

 こうなって来ると絶対に連れて来るしかない。


「最速の船を手配する。

 できる限りすぐに向かってくれ」


 実際、イスカリオンを倒さないと、世界は命運を絶たれるかも知れない。

 そして、その引き金になるナノマシン兵器は、僕から奪ったリソグラフィーの魔法によって作られるのだ。


 僕には事態を収拾する責任がある。

 断る事はできなかった。


 何としても、父を連れて来なければ。

 こうして僕はおよそ5年ぶりに故郷のシャオンス村に帰る事になった。

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