表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/124

第58話 新たな依頼

 ウガガウの正体はノルドステン帝国皇帝の娘、テレジアだった。

 荷物をまとめて帝国へ旅立つ事になったウガガウ。

 

 荷物はそれほど多くない。

 しかし、一緒に住んでいたカエデはいろいろ心配になってしまったようだ。


「着物はちゃんと持った?

 毎朝顔を洗うんだよ!

 お風呂が大きくても泳いじゃダメ!」


「分かってるぞ」


 不機嫌に言い返したウガガウ。

 でも、カエデに抱きしめられると、自分もカエデの背中に手を回していた。


「身体に気を付けてね」


「分かってるぞ……」


 何だかんだで、ウガガウはカエデに懐いているんだな、と思った。


「またいつでもおいで」


 僕は笑顔でそう言って送り出した。


「ああ!

 またな! カエデ、リンクス」


 帝国からの馬車に乗るウガガウ。

 その姿は、凛とした堂々たる姿だった。


 以前、カエデがウガガウの事を、「高貴な顔立ち」と言った事がある。

 やはり彼女には持って生まれた風格のようなものがあるようだ。


 その日、僕とカエデは馬車が見えなくなるまで見送っていた。



 さて、ウガガウと別れたあとの僕達だが、かなりテンションが下がっていた。

 次の日、ギルドに行こうと思い、カエデを迎えにいったら、髪も縛ってない、寝ぐせも直してない状態で現れた。


「今日は休業でもいい?」


 まあ原初の森から戻ったばかりだし、それ以前もいろいろあった。

 休業にする事自体に文句はない。


 それでも、ウガガウのパーティ登録の件で、イネスさんには話を通しておこうと思った。

 僕とカエデだけでは手に負えない依頼だってあるかも知れない。


 と、言う訳で久しぶりに港町マイリスの冒険者ギルドへ。


「お待ちしておりましたぞ! リンクス殿!」


 と、赤い眼鏡とおかっぱ頭の、ギルド受付のイネスさん。

 相変わらずの元気な声だ。


「おや、今日はおひとりですか?」


「ええ、実は……」


 僕は、ウガガウの不在について説明した。

 ただし、事情を公にしていいのかどうか分からないので、とりあえず帰郷した事にしておいた。


「なるほど。ウガガウ殿はおられませんか」


「カエデも今日はお休みです」


「ふーむ。そうでありますか……」


 ごく事務的な手続きの話をしただけのつもりだったが、意外とイネスさんは思案顔だ。


「どうかしました? イネスさん」


「実はですね、リンクス殿のパーティを名指しで、救援依頼が来ているのです」


 僕達を名指し?

 そう言えばさっき、「お待ちしておりましたぞ!」って言ってたっけ?


「ドラゴンマスター、ファフニル相手では大活躍だったですからな!

 Cランク冒険者ともなれば、このような事もあるのですぞ!」


 ファフニル戦の働きを聞いての依頼という事なのか。


「でも、一体誰が?」


「それなら、ほら。

 あちらの席に」


 イネスさんが冒険者の待合所を指差す。


 その人物を僕は知っていた。

 仮に知らなかったとしても、その姿がまっさきに目に留まった事だろう。


 赤い全身鎧で武装した屈強な男性。

 背中には大きな斧を担いでいる。

 兜を机の上に置いていて、短い黒髪と髭を生やした顔が見える。

 鋭い目つきの強面の人物だ。


 そのただならぬ屈強さと威圧的な雰囲気で、他の冒険者は敬遠して距離を置いている。


「よう、小僧。待っていたぜ」


 男性もこちらに気付いた。


「依頼されたのは、戦士ガレス殿です」


 それは先日、魔王を倒した勇者一行の戦士、ガレスさんだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ