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第94話 塔での戦い

 円が塔の中へと入り、一人佇む司に抱きつく。

 少し震え手で円を抱き寄せる司。


「意外と簡単だったけど……まだちょっと震えてる」

「私もちょっと怖かった」


 由乃が淋しそうな顔で司たちに近づいて行き、司たちは離れて由乃を迎える。


「あちらの方にエレベーターがあります。行きましょう」

「いや、あんたも来るのかよ……危ないから止めておいた方がいいと思うけど」

「南さんも行くんですよね?」

「そのつもり」

「だったら私も行きます。あの先に……彼と見るはずだった結末をこの目で直接見ておきたいんです」


 司は由乃の痛々しい気持ちをわずかに読み取り、少し躊躇いながら口を開く。


「円もだけどさ、絶対に守ってやれる保障なんてないんだぞ。俺が一人で行った方がいいと思うんだけどな……」

「私は行く。私はどこまでも司と一緒だって決めたから」

「私も覚悟はできています。たとえ死ぬようなことがあったとして構いません。この先を知りたいんです」

「……分かったよ。出来る限り二人は守るつもりだけど、俺だって余裕がないことを忘れないでくれ。俺はあんたの知っている島田司じゃないんだからな」

「……はい」


 そう答えると由乃は先頭を歩き出し、前回司と上がったエレベーターまで二人を案内する。

 エレベーターに乗り、下を見下ろす円。

 司も一緒に塔内部の景色を見ながら、もう一人の自分に連絡を入れる。


「とりあえず、エレベーターまで到達できた」

(だと思ったよ。それぐらい今のお前は強いんだからな)

「だけど、次も上手くいくかどうかなんて分からないぞ」

(それは誰だって同じさ。俺も次はダメかも知れないしな。だけど戦わない選択をすると、絶対に負けなんだ。挑戦するだけお前の勝ちだよ)

「そう、かな? まぁ、やれるだけのことはやってみるよ。死なないように、生き残れるようにさ」

(ああ。お前なら大丈夫だ)


 会話が終わると丁度エレベータが止まり、先に進み始める司たち。

 由乃は円の手を優しく引き止め、司に言う。


「前回と同じパターンなら、ここで大量の門番が現れるはずです」

「マジかよ……頼むから俺でも勝てるぐらいの数にしておいてくれよ……」


 恐る恐る歩いて行く司。

 円と由乃は離れたところで司を見守っている。

 

 すると周囲の空間が歪み始め、次々と門番が姿を現せ出した。


「あー、もう! 当たって砕けろだ!」


 司は剣を握り締め、近くに現れた門番に斬りかかる。

 軽々と門番を処理し、目の映る門番をドンドン倒して行く。


 だが司の手の早さを上回る足でで襲い来る門番。

 司は相手の剣を避けながら【聖剣】を発動させる。


「まとめていっちまえ!」


 とてつもない長さの光の刀身を振るう司。

 一度振るだけで100ほどの門番が鉄くずと化していく。

 技術もクソも無い、力負けせの攻撃ではあったが、着実に、爆発的に門番の数は減っていた。

 円と由乃はその姿を唖然と見つめており、司はとにかく必死に剣を振る。


「な、なんだ?」


 すると門番たちの体、あるいは破片などが一つの場所に集まり始める。


「門番たちが合体します! 気を付けて下さい!」

「合体って……スーパーロボットかよ!」


 門番を見上げる司であったが、自分の想像とは違う融合をはたすその姿を見て、数歩後ずさる。


「いや……スーパーロボットでもこんなでかい合体はしないだろ」


 数秒前より遥か大きな肉体となった門番。

 司は顔面蒼白で敵の姿を視界の収めていた。

 

「え、こんなの勝てるのか? 勝てる気がしないんだけど!」


 巨大な剣を振り下ろす門番。

 司はハッとし、瞬間移動で門番の側面に飛び、攻撃をやりすごす。


「このっ!」


 鉄の剣で相手の足元を突く。

 しかしキンキンッと二回攻撃を弾かれる音が響き、その硬さに後ずさりする司。


「え? 全然通用してないんだけど、どうすんだよ、これ!?」


 門番の剣はそこで地面に衝突し、その衝撃に激しい揺れが起きる。


「うわっ」


 円と由乃がその揺れで尻餅をつく。

 司はその円の姿を見て、不安を一瞬で払拭する。


「円……絶対に守ってみせる!」


 【聖剣】の力を全開にする司。

 果てしない光が放出される。


「これでダメなら終わりだ。でも、これでダメでも絶対に勝つ!」


 門番は司の胴体を狙い、剣を横薙ぎする。


「司!」


 司に攻撃が当たる。

 そう思った円は声の限り彼の名前を叫んだ。

 しかし司は、瞬間移動で元の位置に戻り、【聖剣】を全力で振り下ろす。


 激しい光に飲み込まれていく景色。

 円と由乃はその輝きに目を開けていられなかった。


「……司?」


 光が収まり、司の方を見ると、そこにはすでに門番の姿は無かった。


 息を切らせて剣を握っている司。

 全力を出したことに疲れが生じていた。

 しかし【時空勇者】の持つ回復力によって、息切れは一瞬で回復していく。


「はー……何とか倒せた」


 その場に座り込む司。

 彼に駆け寄る円。

 

 背中から抱きつかれた司は、安堵の笑みをこぼした。

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