表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/103

第54話 悪魔の闘士

 荒地の果てに海が見える。

 周囲にモンスターはいない。

 ただ一匹を除いて。


 波が打つ音が響く夜空の下に、人間程度の大きさのモンスターがいる。

 人間の体に悪魔の尻尾。

 顔は牛。

 牛の被り物でもかぶっているのかとも思ったが……赤い目は動いているようだし、自前のものだ。

 背中には剣を背負っており、腰に布を巻いているだけという、なんとも軽装すぎるほどの軽装姿。

 もしかしたら人間の可能性もあるのではないだろうかという風貌ではあったが……雰囲気がそうではないと伝えてくる。

 そもそもこんなところで単独で行動している人間などいないだろう。

 

 俺は【潜伏】状態で遠くから奴の動きを観察していた。

 しかし他のモンスターがいないって、《黒き獅子》と同じ現象だ。

 もしかしてあいつ、三獣神だったりして。

 だけどそんな噂をダラデニーの町でも聞かなかったしそれはないだろう。

 だからと言って舐めてかかって殺されてはたまったものではないし、慎重に行こう。

 

 《黒き獅子》の時は【潜伏】が通用しなかった。

 あいつが三獣神ではなかったとしても、もし【潜伏】が通じなかったら?

 その可能性は十分にある。

 ブランにしてもそうだった。

 あいつにも【潜伏】の効果は意味をなさなかったのだ。


 となれば【潜伏】を見破られるかも知れないということを前提に行動するのならば……不意打ちで先手を打つしかない。

 

 俺は一度深呼吸し、しっかりと敵の姿を見据える。

 今なら最悪【閃光】で逃げれるし、とにかくやってみよう。


 俺は【閃光】を発動し、相手との距離を縮める。

 相手の背後に回り込み、腰辺りに拳を叩き込む。


「!?」


 相手の腰の右側の肉がはじけ飛ぶ。

 ダラダラと流れる血は青い。

 よし。人間じゃないな。

 良かった。


 俺は【潜伏】を再動させ、少し距離を取る。

 相手は後ろを振り向き、俺の姿を視線に納めた。

 あ、バレてる。

 どうやら【潜伏】が通用しない相手のようだ。

 これは先手を打っておいて正解だったな。


 だが相手は痛みを感じていないのであろうか、無言のままで大きな剣を両手で持ち、全速力でこちらに駆けて来る。

 傷口は徐々に収まりつつありある……凄まじい回復力を有しているようだ。


 敵と正面切って戦うのは久しぶりだな。

 ブラン以来だ。

 ここは新しいスキルの効果を試してみよう。

 逆にここで試しておかないと、他でまともに試しようがない。

 

「【障壁】」


 半透明のドーム型の壁が、俺の周囲に展開される。

 これは自身を守るためのスキルのようだが、どれぐらいの攻撃に耐えらえるかまではまだ把握していない。

 雑魚相手に試してもあまり意味もないので、【潜伏】がきかないこいつぐらいで確認しておきた。


 相手の握る大剣が真っ黒な闇に覆われる。

 それを俺の脳天に向かって振り下ろす。

 が、【障壁】に弾かれ、後ずさる。


 あ、こんな凶悪そうな攻撃でも耐えれるのか。

 奴は何度も剣を振り下ろしてくるが、ガキンガキンと激しい音を奏でるだけで効果は見られない。

 これはこれで十分使えそうなスキルだな。

 凄まじい斬撃が繰り広げられる最中、俺は喜びニヤニヤ笑っていた。


 となれば、後はこいつを倒すだけだな。

 回復力は凄いようだが、俺は結構な攻撃力をしているんだぜ。

 既に奴の傷口は完治している。

 ならば、その回復力を上回る攻撃を叩き込めばいいだけのこと。

 攻撃は十分通用することは確認している。

 

 相手は大きく剣を振り上げた。 

 渾身の力で【障壁】を叩き壊そうとしているのだろ。

 だが俺はそのタイミングで両手に【火術】を発動する。

 そして【体術】と【火術】を合成し、一気に叩き込む。


「【爆炎連牙】!」


 散弾めいた拳の弾幕が、敵の体を捉える。

 相手の体に次々と穴が開き、吹き飛んでいく。


 ピクピクと痙攣を起こしているようだが、まだ息をしている。

 というか、また傷口が塞がっていくようだ。

 よし。このまま止めを刺そう。


「【ノームスワンプ】」


 土の上級術を発動してやると俺の周囲が沼と化し、あらゆるものを大地が飲み込んでいく。

 敵も例外なく地面へと沈んでき、ジタバタと抵抗をする。

 だがそれは無駄な抵抗だったようで、ドンドンと肉体は沈んでいき、手だけを天に向かって突き出していた。

 最後はその腕さえも飲み込み――奴は完全に大地へと消え去ってしまう。


「…………」


 まだ動きがあるだろうかと警戒していたが、2分ほどしても動きは見られない。

 どうやら大地の中で窒息死したようだ。

 俺はため息をつき、ステータス画面を開く。


 するとそこには 記録(ログ)が流れていた。

 『《悪魔の闘士》を討伐したことにより、新たな称号を入手しました』


「……もしかして、本当に三獣神だった?」

 

 しかし三獣神にしては強くなかったような……いや、それだけ俺が強くなったということか。

 俺は称号の文字をタップし、新しい称号を確認する。


 闘士を討伐せし者:悪魔の闘士を討伐した者に送る称号

 効果・基礎魔力が二倍になる


 おお!

 これはまた素晴らしいものをありがとう!


 魔力が二倍になるって……

 今でも信じられないぐらい強いというのに、まだ二倍も強くなるのかよ。


 際限なく上昇していく自身の能力。

 俺はステータスを見ながら、歓喜に地面を転げ回った。

面白かった。と、少しでも思っていただけたら、ブックマークと高評価の方お願いします。

評価はこの小説の下にある【☆☆☆☆☆】を押してもらえたらできます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ