第45話 レッドキャップとアイスバット
ダラデニー王がいなくなった翌日の朝。
俺たちは宿の広場で集まっていた。
「なあ、皆。昨日のオークキング……奇跡的に勝てたけど、今のまま進んだら今度こそ次のエリアマスターに負ける気がするんだよ」
「そうですね……仮面の戦士様が来てくれなかったら、私たちは死んでいました」
「また特訓する?」
「おう! そうしようぜ! 突貫しようぜ!」
「突貫って、どこに突っ込むつもりなんだよ、磯さん」
昨日の戦いで、自分たちの実力不足を痛感した勇太たち。
話し合いの結果、ダラデニーに留まりここで実力を高めてから先に進むということになった。
俺としてはありがたい。
まだこのエリアで行っていないところがあるし。
と言うか、行ってないところばかりだし。
まだ見ぬモンスターを探し、更なるレベルアップができるというわけだ。
俺はワクワクしながら、皆を促す。
「じゃあ早速行こうぜ。ゆっくりしている時間も勿体ない」
「そうだな! 早いとこ強くなって、パッと元の世界に戻ろうぜ!」
宿を出ると、町の人たちが俺たちに笑顔で話しかけてくる。
どうやらダラデニー王から解放されたことを感謝しているらしい。
「君たちがいなかったらこれからも変わらない日々が続いていたはずだ。本当にありがとう!」
町の全員が俺たちに感謝の言葉を投げかけてくる。
勇太は笑顔で応えていたが……こんな注目されたら恥ずかしいな。
早く町から出よう。そうしよう。
勇太たちとはスケルトン、オルトロス狩りを夕方まで行い、晩御飯を食べてから一人で町の外まで移動する。
【鷹の目】で確認したところ、ここから西に言ったところに洞窟らしきものがあり、俺は【閃光】で道中を駆け抜ける。
途中視界に入ったモンスターを倒して行こうとクロスボウを向けたところ、【閃光】の効果が切れてしまった。
どうやら移動手段、回避行動にしかこれは使えないようだ。
【閃光】は移動しながらの攻撃は不可能だということが判明した。
だからブランも同時に使用してこなかったんだな。
洞窟の入り口は、まるで城門のように大きな物だった。
中からひやっとして空気が流れていて、俺は固唾を飲み込みながら侵入していく。
中は真っ暗で炎を投げ込んでやると、そこは広々とした空間でポタポタと水がしたたり落ち、水たまりがいくつもできている洞窟であった。
足元は常に滑りそうな感じがあり、俺は用心深く、ゆっくりと歩んで行く。
炎をそこら中に巻き散らしながら進んでいると、ゴブリンを赤くしたようなモンスターが出現し、不意打ち気味に飛び掛かってきた。
見た目はゴブリンと同じだが、もし強かったらどうしよう……
そう考えた俺は【潜伏】を発動し、赤いゴブリンから距離を取る。
相手はキョロキョロ周りを見渡し、消えた俺を探していた。
うん。これぐらいが丁度いい。
ブランみたいに【潜伏】が通用しないような相手とは出来る限り戦いたくないよ。
こうやって隠れて、クロスボウで――ドンッと。
矢を喰らった赤いゴブリンは例の如く、木っ端みじんに爆散する。
攻撃も通用する、これなら安心して戦えるな。
赤いゴブリンを倒しながら歩いていると、また違うモンスターと遭遇する。
それは人間の顔を二回りほど大きくしたほどの蝙蝠。
色は水色、口からは何やら冷気を吐き出しているようだ。
これも隠れながら矢を放ってやると、一撃で粉砕することができ、俺は意気揚々と狩りをしていく。
こんな簡単な戦闘なのに、レベルは上がっていくんだろうな。
楽に、お気楽に、能天気にモンスターを倒していく俺。
ある程度狩りをして、入手したカードを確認する。
レッドキャップカード:レア度N
攻撃力が1%上昇する
アイスバットカード:レア度N
魔力が1%上昇する
水術Ⅰ:レア度N ランクB
下級の水術を使できる
なるほど、赤いゴブリンの名前はレッドキャップで、水色の蝙蝠はアイスバットというのか。
そして新たなスキルカードは【水術】。
これでまた、スキルのバリエーションが増えるというものだ。
ここで俺は、手持ちのカードからモンスターを召喚し洞窟に解き放つ。
「さあ諸君。モンスターを倒してきてくれたまえ。俺の未来は君たちの手にかかっている」
自分でもよく分からないテンションでモンスターにそう命ずる。
モンスターは従順な僕のごとく、俺のために狩りを開始した。
俺は一度ダラデニーに戻り、【閃光】で北へ向かって駆けて行く。
「いたいた」
俺がやって来た荒地にいるのは、オークとその上位種である紫色のハイオークのいる。
昨日散々倒しはしたが、まだモンスターカードは完成していない。
強くなるし、コンプリートしたいし、悪いけど君たちを叩かせてもらう。
【潜伏】を発動したまま、【風術】でオークたちを切り刻んでいく。
カード集めの上に術の熟練度アップを狙う。
合間合間に【水術】を織り交ぜながら、オークを軽々と倒して行く。
また強くなっていくであろう自分を想像し、俺は恍惚とした表情で魔術を乱発していた。
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