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第20話 仇

「リリース」


 水のカードを使用すると、水の入った大きなコップが現出する。

 それを女性に手渡してやると、ゆっくりと彼女は水を飲み始めた。


「どうして君は襲われていたんだ?」

「……私たちの村が、盗賊に襲われて……私は何とか逃げることができたのですが、気づかれていたようで、追われていたんです」

「村が……他の皆は無事なのか?」

「いえ……全員、殺されました」


 赤髪のその女性は、堰を切るかのように涙を流し始める。


「両親も……恋人も殺されました……全員、死んじゃったんです!」

「…………」


 水を手から落とし、嗚咽を漏らす女性。

 俺はそんな彼女を見ながら、胸が締め付けられる思いをしていた。

 全員殺すなんて……何でそんな酷いことができるのだろう。


 彼女の手から離れたコップが粒子となって宙へ消えていく。

 俺は次第に、煮えたぎるような怒りを腹の中に感じていた。


「……君はどうしたい?」

「……どうしたいと言っても、何もできない。私なんかじゃ、どうしようもありませんから」

「俺が、力を貸してあげるよ」

「え……?」


 彼女は泣き顔で俺を見上げる。

 真剣な顔で見つめる俺を、彼女もいつしか真剣な表情となり、見つめ返していた。


「……仇を取りたいです。皆の無念を晴らしたい!」

「分かった。じゃあ、明日にでもその盗賊を探しに行こう」

「はい」

「俺は司。君の名前は?」

「アイリです……」


 俺が手を伸ばすと、アイリは頷きその手を取った。


 ◇◇◇◇◇◇◇


 アイリを連れて、俺は宿に戻ることにした。

 一応、由乃たちには俺が強いということは黙っててほしいということを伝え、町の方へと歩いて戻る。

 道中はさすがに狩りを続けるような雰囲気でもないので、近づいて来るモンスターだけをクロスボウで仕留めていく。


 そこそこ距離は離れていたので、戻るのに30分ほど時間を有した。

 一人だったら走ってすぐだけど、誰か一緒だったらこれぐらいかかるか……


 宿に戻り、アイリの分の部屋を取りって彼女の部屋へ送る。

 

「じゃあ、俺は向こうの部屋にいるから」

「…………」


 アイリは震える手で、俺の服の袖を掴む。

 その顔は青く、死んだような瞳をしている。

 怖い目にあったんだ……一人でいるのが心細いのか。

 こんな時、誰かがいてくれた方がいいに決まってるよな。


 俺はアイリと共に部屋へと入り、彼女をベッドへ寝かす。

 すると彼女は俺の手を握り、ほんの少しだけ笑みを浮かべる。

 俺は女の子から手を握られるのなんて初めてのことだったから、余裕の顔をしながら、少しドキドキしたりしていた。


 目を瞑る彼女を横目に、俺は片手でステータス画面を開く。


 島田 司

 LV99

 ジョブ  合成師

 HP  2300(+6900)

 MP  1150(+2300)

 攻撃力 1150(+3450)

 防御力  766(+2298)

 敏捷   766(+3064)

 魔力  1150(+2622)

 運    958(+2874)


 ジョブスキル

 合成Ⅰ

 武器スキル

 体術 99 弩 99

 アクティブスキル

 火術Ⅴ 53 風術Ⅴ 回復術Ⅴ 

 心術Ⅴ 81 弱化Ⅱ 手加減Ⅴ 27 

 潜伏Ⅴ 99 鷹の目Ⅴ99 帰還Ⅰ 19

 パッシブスキル

 HP増加(特大) MP増加(特大) 怪力 

 鉄壁 俊足 超魔力 

 強運 神の加護 毒無効

 麻痺無効 石化無効 混乱無効

 誘惑無効 病気無効 魔力消費0

 高速成長


 またステータスは上昇している。

 これぐらい強ければ、アイリの敵討ちに力を貸してやれるよな?

 

 《ホルダー》を開き、カードの方を確認する。


 スピリットカード+27:レア度N

 魔力が28%上昇する


 弱化Ⅱ:レア度N ランクA

 敵の能力を一時的に減少させることができる


 【スピリットカード】は+27に、新しいカードは【弱化】という、敵を弱体化させるスキルだ。

 これがあれば、フォローもしやすくなるな。


 盗賊がどれぐらい強いかは分からないが……こちらには【潜伏】もある。

 現在の俺の力があれば、アイリにもその効力が及ぶようだし、彼女と共に安全に近づけるはずだ。

 ようやく眠りについた彼女の顔を見つめながら、俺は一人頷いた。


 勇太たちにアイリに部屋にいることを伝えに行くため、俺は自分たちの部屋へと移動する。

 すると部屋には由乃たちもいて、神妙な面持ちで対面していた。

 そこには辰巳について行ったクラスメイトの女子、香川がいる。

 何で彼女がここにいるんだ?


「どうしたんだよ? そんな真剣な顔して」

「司……マズいことになったんだ」

「……冗談じゃなさそうだな」


 勇太も磯さんも珍しく、笑みを浮かべず真面目な顔を俺に向けている。

 由乃もこちらを見て一瞬口角を上げるが、すぐに元の顔へ戻った。


「何があったんだ?」

「エリアマスター……このセイルレーンエリアのボスとも呼ばれるエリアマスターというのが、『コボルトキング』というらしいです」

「コボルトキング……」


 洞窟で俺が倒した大きなコボルトは、コボルトリーダーだった……

 コボルトキングということは、あのコボルトたちのボスってことか。


「それで、そのコボルトキングがどうかしたのか?」

「……捕まったらしいんだよ」

「捕まった? 誰が?」

「……辰巳たちがだよ」

「辰巳たち……?」

「ああ。俺たちを除いたクラスメイト全員が、コボルトキングに捕まったみたいなんだ」


 勇太は一切冗談を言わず、真っ直ぐな瞳で俺にそう伝えてきた。

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