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《複製》の使い手①

暁が祭りに着いた頃には、既にかなりの賑わいだった。

焼きそば、チョコバナナ、金魚すくいなど、様々な露店が並ぶ中、一際注目を置かれている場所があった。

アマチュアの試合会場だ。

全国大会以上の大きなイベントの祭りでは、このようなイベントが開催され、大会の結果次第ではスカウトされることもあるほど注目されている。

(俺も参加してみようかなぁ……)

アマチュアの試合では、Sランク騎士やAランク騎士などの上級者は出てこない。

しかし、暁のようなEランク騎士もそうそう出てこない。

それほど魔力量が少ないこと自体が珍しいからだ。

暁はエントリーを済ますと、足早に控え室へと向かう。

すると――

「おい! お前、Eランクなんだってな!」

「笑えるぜぇ! 公開処刑されに来たのかぁ?!」

後ろから二人組の男が暁をバカにしているような声が聞こえてくる。

よくある事だ。

Eランク騎士だということだけでバカにされ、笑われる。

慣れている暁はその声を無視すると、再び控え室へと歩き始めた。


控え室には、既にかなりの人が集まっていた。

暁はエントリー時間締め切り直前のエントリーだったため、ここにいる人と、先程の二人の男が参加者全員だと思われる。

控え室の隅で準備を進めていると、早速第一試合の選手が呼ばれた。

それと同時に、暁は第二試合に出場することも伝えられた。

第一試合は、かなり白熱した試合だった。

どちらも実力は互角で、決着のついた原因は魔力切れだった。

このような魔力切れでの敗退があるため、魔力量でランク決めがされている。

「暁選手――時間です。こちらへどうぞ」

案内人の指示に従い、試合が行われるフィールドへと向かう。

「まじかよ……」

暁の口から不満が漏れる。

それもそのはず。

相手は先程暁をバカにしてきた男の一人だったのだ。

「また会ったなぁ。俺がお前を存分に痛めつけてやるからなぁ」

男は勝利を確信したかのような嫌な笑みでこちらを見てくる。

「それでは、ただいまより第二試合を始めます!」

「へへ。Cランクの俺様がボコボコにしてやるぜぇ」

「MATCH START!」

試合開始の合図とともに、男が暁に向かって突進をしてくる。

すると、腕を伸ばしても届かないところから殴りの素振りをした――と同時に、暁に衝撃が襲う。

「なっ――」

暁から驚きの声が漏れるが、同時に男の能力を理解することができた。

(あいつの能力は風使いか……)

殴りで起こした風を操り、その風を数十倍に圧縮させたのだろう。

男はまたもや殴りの素振りをすると、暁は左へのステップで風による攻撃を避ける。

(ステップで避けることが出来たということは、この風は直線的な攻撃しかできない!)

男の攻撃がどのようなものなのかが分かった暁は、不敵な笑みを浮かべる。

「何笑ってやがるぅぅ! 避けることしか出来ないのかぁ?!」

そういうと男は両腕で風を起こす。

(風が見える……)

暁は男の起こした風を確認すると、その風を操りさらに凝縮させる。

「お返しだよ」

「なぜだ! なぜお前がその能力を使える! お前はEランクのはずだ!」

Eランクの暁がCランクの男の能力を使う事ができるはずがない。

しかし、それが出来るのが暁の能力。

「これが俺の能力――《複製》だ。お前の能力をコピーしたのさ」

その答えると同時に、凝縮した風を男へと放つ。

「くっ……」

男の凝縮した風をさらに凝縮した風に男は――耐えきれなかった。

「試合終了ぉぉぉ! 勝者――島津暁選手! Cランク騎士にEランク騎士が勝利する大番狂わせだぁぁ!」

この大番狂わせに会場は大盛り上がりだった。

ただ一人を除いて――




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