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#放課後カラオケタイム、ドリンクバー付き600円にクーポンを添えて

 今日は学校の帰りにカラオケへと遊びに来ている。和弓部が三人と私を含めたその友人二人という組み合わせで、知り合いは御門さんともう一人同じクラスメイトである和弓部員の二人が居り、後の二人は知らない人で御門さんと同じクラスらしい。


 弓道場の整備の為に休みになったとの事で、クラスメイトに御門さんと仲が良いからと誘われた。逆に私と同じ和弓部じゃない子はこのクラスメイトの子と仲が良いそうだ。女子にとってカラオケとは、初対面の子とでもコミュニケーションを取れる手段の一つである。


 受付を済ませてドリンクバーで飲み物を準備したら準備は完了、楽しいお喋りと歌が始まりノリの良い者が一番手を持っていく。


 「んじゃ、歌いまーっす!」


 「今やってるドラマの曲だね。ってか最初は盛り上がる曲にしよーよ?」


 「へー、Limeかー。デンモク貸してー……ありがと。なら同じ味噌津素師で……ピースタンジェントっと」


 ツッコミを入れて一番手が歌い始めたのを聞きながら、ストローでコーラを飲む。カロリー0の黒い方だ。歌い始める前に飲むのは辛いが、ジュースの中では一番これが美味しいと思う。ドリンクバーでお茶を選ぶのは個人的に負けな気がして少し躊躇する。


 「私も入れたので、次は音鳴さんですよー」


 「あぁ、うん、ありがとー」


 御門さんから回ってきたデンモクを受け取り、自分の入れる曲を考える。他の人が入れたのを確認しようと履歴を見ると……3番目はTime is backとは懐かしい、昔から好きな曲だ。男の時は歌えなかったけど、今は高音域も声が出て歌えるのがいい。その分低い所が逆に辛くはなっているが。4番目の御門さんはどこか坂のインフルエンザか。


 古い曲を入れてる人も居るから私も、という考えで同じ90年代の曲を選曲した。私の世代的に今でもその辺りの曲が一番好きだったりする。シスチルとかSTAPが特に好きで昔はCDをよく聞いていた。


 楽しそうに歌っている御門さんを見ていたら、自分の順番が回ってきたのでマイクを持ち歌いだす。選んだ曲は狭瀬香美のcancellationで、歌がサビに入った時先ほどピースタンジェントを歌っていた子が、ばっと反応した。知っている曲だったりしたのだろうか?


 歌い終わってマイクを次の次の子に渡した私に、ピースタンジェントを歌っていた別クラスの和弓部の子が話しかけてきた。


 「ねーねー、音鳴さんってさー……その、何かアニメ見たりしてる?」


 「ん? 弟が見てるのを一緒に時々見てるけど……ああ、さっきのピースタンジェントも確かアニメの曲だよね?」


 「うん、そう。ま、まあカッコいいから(危なかった、)好きな曲なんだ(多分一般人だ)けどね」


 「え、何、アニメの話? 私はハマグリさんとか見てるわ」


 「アニメですか? 朝早くに起きた時にプリヒールとか時々見てますね」


 アニメの話になってきて、大体皆メジャーなのを見ている感じだ。小学校の時にはクラスに深夜のアニメを見ている子が多くて私も録画して見ていた。


 「そういえば、小学校の頃は深夜のアニメも見たりしてたよ。少年漫画が好きだったから徐々に奇妙な冒険とか」


 昔は週刊少年シャンプーを買って読んでいたのだが、正直今でも続いていて驚いている。


 「深夜のアニメねぇ、私は見てないわー」


 「お姉ちゃんが時々見てるから、アタシも一緒にお菓子食べながら見てる」


 「あ、私も昔は深夜のアニメ見てたんだー。ツンフォギアっていう女の子が歌って戦うアニメとかカッコよかった記憶有るけど知ってる(一応、ね)?」


 ん? 確か動画サイトでライブシーンだけを見た事があるアニメだ。ランキングに高順位で上がっていた筈。


 「何それ? 知らないー」


 「アタシも知らない。お姉ちゃん男の子ばかりの見てるから」


 「動画でライブシーンだけ見た事あるね。七面鳥のフランベとかそんなタイトルの」


 「そう、それ!(やっぱ) ……歌え(り仲間)たりしない(だった)?」


 私が歌えるかといえば、その場面の所だけなら覚えている。という事は曲の1番だけだろう。


 「1番だけなら多分? その場面しか見てないし」


 「ねー、一緒に歌ってみない? デュエットやってみたいんだけど」


 「良いけど。間違ったらゴメンね?」


 という訳でデュエットをする事になった。その前に私は自分が入れていたコンクリートの少年を歌いきり、1曲を挟み順番が回ってきたのだが心なしか相方の表情が生き生きとしている様に感じる。


 「――見せてもらうぞ、戦場に冴える抜身の貴様を!」


 伴奏が流れ出した時に歌詞に載っていないセリフを相方が言った。ライブシーンで見た覚えがあるから、余程このアニメが好きだったのだろう。1番だけ歌って演奏停止をした時、相方を見るととっても笑顔だった。


 終始こんな感じで楽しくしていると、気付けば20時でフリータイム終了の時間となった。皆で駅まで向かって解散したのだが、家に帰ったら父が少し心配していたのには申し訳なく感じる。年頃の娘が遅くまで出歩くというのは、確かに心配になるかもしれない。けど、もう高校生なのでこの位までなら許して欲しいと思う。





 遅めの夕食を食べてから部屋でパソコンを操作していると、ぶいすてーじのオーディションの募集条件が変更になったというニュースを見かけて開く。確かに18歳以上の配信経験者から年齢不問でやる気がある方と変更されていて、こういう採用で急遽条件変更とは珍しいと思いながらもう一度前に見たキャラクターを見る。


 そこにはクマ・ネコ・リスの女の子の立ち絵があって、今回募集しているのはネコとリスの二人の魂だ。まずは白いショートヘアで青と黄のオッドアイなネコの女の子の方の説明文を読む。【農家の家族に飼われている猫。花や薬草を栽培している心優しい子】とだけ書かれている。名前は書かれておらず、前に誰かが配信で言っていた様に会社の人に決められるか魂の人が自分で決めるのだろう。


 もう片方のリスの子には【商人見習いをしているリス。将来自分の店を構える事が夢で、その為にお金を集めている】と書いてあって、見た目は何よりもまず大きなもふもふのしっぽに目がいく。そして茶色のツインテールな髪と緑の瞳が綺麗に描かれている。


 最後のクマの子は大人な女性の見た目をしていて、幼い見た目のネコの子と普通のリスの子でバランス良くなっている。一部の部分も見た目に比例していて、本当にバランスは良いと思う。


 そんな風に眺めていたら、ふと試しに応募してみようかという考えが頭に浮かんだ。採用されるとは微塵も思わないが、こういう物に応募してお祈りメールを貰うのも誰かとの話の種になるかもしれない。


 明日の帰りに履歴書をコンビニで買うのと証明写真を撮る事を頭に入れつつ、カラオケでの懐かしさから90年代のJ-POPを聞く事にして動画サイトで検索を始めた。

曲名とかをパチモノっぽく変更。

正解を知りたい方はハーメルンの方をお読みください。

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