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箱物語

とび箱とべた (箱物語23)

作者: keikato
掲載日:2018/11/28

 夕暮れの公園。

 アヤはしょんぼりブランコにすわっていました。

 明日の体育はとび箱。

 でも、クラスでアヤだけがとべなかったのです。

 と、そのとき。

「アヤ!」

 聞き覚えのあるママの声がします。

「えっ?」

 顔を上げると、目の前にママが立っていました。

「ママ……」

 ママは、アヤが三歳のとき天国に行きました。だから、お空からおりてきたんだと思いました。

「アヤ、おいで」

 ママが手まねきをします。

「ママー」

 アヤはブランコをとびおり、ママのもとにかけ寄りました。

「いらっしゃい」

 ママが砂場へと向かいます。

 砂場のそばに大きな箱のようなものがあります。

 それはとび箱でした。

「アヤにだって、きっととべるわよ。ママが見ててあげるから、とんでみて」

「あたしがとび箱をとべないって、ママはどうして知ってるの?」

「アヤのこと、ママはみんな知ってるの」

「そうなんだ。でも……」

 アヤはとび箱がこわくてしかたありません。

「さあ、勇気を出して」

 ママがアヤの肩に手をそえました。

 ほんわり、ママのぬくもりが伝わってきます。

 アヤはなんだかとべそうな気がしてきました。

「うん」

 大きくうなずいてみせ、アヤはとび箱に向かって走りました。

 体がフワリと浮いて軽くなります。

 そして気がついたら、とび箱の向こうに着地していました。

「とべたよー」

 ふり返ると、ママがにっこりほほえんでいます。

「もうだいじょうぶね」

「ママー」

 アヤはうれしくてママにかけ寄りました。

「早くおうちに帰るのよ、パパが心配してるからね」

 ママが銀色の光の粒となってゆきます。

「ママ……」

 立ちつくすアヤの前で、銀色の光はうす暗くなった空に消えてゆきました。

 そして……。

 とび箱も消えていました。


「アヤー」

 パパの声がしました。

 帰りのおそいアヤを、パパは心配して公園まで迎えに来てくれたのでした。

「とび箱、とべたよー」

 アヤは手をふり、はねるようにパパのもとへとかけ出しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 感動的なお話ですね。 また、私もとび箱苦手なので、さりげなく共感しました。 温かい気持ちになれる終わり方も良かったです。
[良い点]  夕暮れの公園。  アヤはしょんぼりブランコにすわっていました。 ・・・・・・・  明日の体育はとび箱。  でも、クラスでアヤだけが(まだ)とべなかったのです。 ・・・・・・  …
[一言] ほのぼの雰囲気の作品ですね 最近なろう退会や休止のユーザーさんが増えてる傾向なので尚更貴重な存在です 箱物語シリーズそのものの意味は分かりませんが、こだわりは大事かと思います 童話や寓話、…
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