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俺が白月蒼子を嫌う理由  作者: kuroro
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夏の夜空に星の雨が降り注いだ——。


右から左へ、左から右へ。

上から下へ、下から上へ。


その『流星』という名の雨は、まるで糸を編むかのように星の海を勢いよく駆け抜け、瞬く間に消えていく。


この光景を、一体何と表現すればいいのだろう。


美しい、幻想的、感動的、雄大……。



……いや。きっと、この光景はそんなありきたりな言葉で表現できるものではない。

その証拠に、俺も葉原も……天才である白月でさえ、開いた口から言葉が出てこない。それぞれただジッと空を見上げ、時折ふと思い出したように呼吸を繰り返す。


「人は心の底から美しいと思うものを目にしたとき、呼吸するのも忘れてしまう」とよく言うが、どうやらそれは本当のことだったらしい。


***


今夜のペルセウス座流星群は、昨夜のものとは段違いだった。数分に一度、時には続けていくつもの流星が濃紺の夜空を駆け抜けていく。

言葉にできないものを無理矢理言葉にするのはとても難しいことだ。けれど、何とか相応しい言葉を探して当てはめるのであれば、その光景はまさに“絶景”。


日本の、それもこんな街中でこの光景を見ることが出来るというのは、幸運以外の何者でもない。


……この星空を見ていると、どんな問題も些細なものに思えてくる。それだけこの光景には神秘的な力があるのだと、そう思わざるを得ない。



夜の大気に溶け込んだペトリコールの香りが。


肌を優しく撫でる、生暖かい夜風が。


瞳に映る白い流星が——。


五感を通して、俺たちの記憶にしっかりと刻み込まれていく。



これから5年後、10年後。

俺たちはきっと、夏の夜空を見上げるたびにこの夜のことを思い出すのだろう。


そんなことを考えながら、次々と過ぎ去っていく流星を眺めていると、隣に座って空を見上げる白月が小さな声でポツリと呟いた。



「……良かった」


俺は、ふと隣の白月に目を向ける。



「……みんなで合宿をすることが出来て、本当に良かった」


白月は微かに潤んだ瞳に白い尾を引く流星を映しながら、確かにそう呟いた。


まるでその中に夜を封じ込めたように黒く静かな白月の長い髪が、夜風に吹かれてサラサラと靡く。俺はそんな白月の姿を見て、思わず返す言葉を見失った。


何故なら、満点の星空の下にある彼女の姿は不思議と儚げに見えて、それでいて、そんな星空と等しいくらいに彼女の姿は美しく見えたのだ。


そんな白月に先に言葉を返したのは、同じように空を見上げる葉原だった。


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