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俺が白月蒼子を嫌う理由  作者: kuroro
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漫画を読み始めてから30分程が経過したところで、隣に座っていた白月が読んでいた漫画を静かに閉じ、スッとその場に立ち上がった。俺と葉原は手に持った少女漫画から、立ち上がった白月に目を向ける。



「そろそろね」


白月がそう呟いたのを聞いて、俺はジャージのポケットからスマホを取り出し、時刻を確認する。すると、時刻はちょうど20時30分を回ったところだった。ペルセウス座流星群が観測できるのは21時を超えたあたりからということなので、時間的にはちょうどいいと言えるだろう。



「んじゃ、行くか」


そう言って白月と同じように立ち上がると、白月の隣で漫画を読んでいた葉原も、漫画を畳の上に置いて立ち上がった。



「いよいよ今日のメインイベントだね!」


「先程ネットで確認した様子だと、もっともよく見えるのは明日の22時頃らしいわね。けれど、今日も流星群は観測できるようだから心配はいらないわよ」


「私、誰かと一緒に星を見るのって、これが初めてかも。今まで、そういうことを出来る友達っていなかったから……」


葉原は過去の自分を思い出すように呟いた。


昔の葉原夕をよく知る俺たちは、葉原が今どんな気持ちでこの場にいるのかを痛いほど理解している。彼女は泣いている奴や困っている奴がいれば、それが誰であれ優しく手を伸ばし、力になってあげようと考える正真正銘の善人なのだ。

そんな善人だからこそ、友達同士で交わすお遊び程度の冗談すらも本気で捉えてしまい、本人の意思に反して、彼女の周りからはどんどんと人が離れていってしまう。


俺と白月はそんな葉原の過去を知っているからこそ、今の葉原が友人に囲まれ、毎日の学校生活を楽しいと感じていることに喜びを感じている。そして、同じ部の一員として、これから共に星を見ることに関しても……。


俺は葉原に向かって口を開く。



「俺や白月だって同じだ。今まで誰かと星を見る機会なんて無かったし、それを見て、誰かと気持ちを共有するなんてことも当然無かった。だからここにいる全員、今日が初めての天体観測だ。……いい思い出になるといいな」


それを聞いた葉原は、俯かせていた顔を上げて微笑むと「うん」と小さく頷いてみせた。


***


そうして各自バッグから防寒着を取り出すと、準備が整ったのを確認した白月が「さて」と口を開いた。



「それじゃあ、行きましょうか」


俺と葉原はそれに対して短く返事を返すと、明かりを消し、白月の後ろについて部屋を出た。


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