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俺が白月蒼子を嫌う理由  作者: kuroro
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1週間というサイクルが回ってくるのは、俺が思っていたよりもずっと早いらしく、あっという間にその日はやってきた。


5月23日 水曜日。


体感で2・3日程度に感じられたテスト準備期間が終わり、2日前から中間テストが始まった。今日はその3日目、最終日。1限目の化学+選択科目(地学)、2限目の英語と続き、残された教科は現代文だけ。長いようで短く感じられたテスト期間も、あと60分で終わりを迎える。


正直なところ、テスト準備期間の1週間よりも、この3日間の方が遥かに長く感じた。今まで、そこそこの高得点を目指したことはあっても『全教科100点満点』を目指すなんてことは考えたこともなかったせいか、高校受験なんて比にならないようなストレスとプレッシャーに、体も心も悲鳴を上げている。


他の学校ではどうかは知らないが、少なくてもこの凪ノ宮高校では平均80点を取れていれば十分に優秀であるという認識が持たれている。そんな中で全教科満点なんて獲得した日には、生徒教師問わず、周りから一目置かれる存在になることはほぼ間違い無いだろう。


けれど、俺が欲しいのは秀才や優等生を見るような周りの目ではなく『天才 白月蒼子からの勝利』、ただそれだけ。


そのためだけに、普段はほとんど口にすることはないエナジードリンクを摂取してまで、日々テスト勉強に取り組んできたのだ。


ここで結果を出さずにしていつ出すのか。


俺は別に努力をするのが好きなわけでも、ましてや得意なわけでもない。

自分の中で何かが擦り切れていくようなそんな努力をずっと続けていけるほど、俺は強い人間じゃない。


まるで、無数に連なる針の穴めがけて一つも外すことなく慎重に糸を通していくような、そんな息苦しくて思わず発狂してしまいそうになる感覚を、これから何度も経験するなんて俺には出来ない。



だから、今回だけ。


これで終わりにする。



そして、最後には「やり遂げた」「お前に勝ったぞ」と笑顔で白月に言ってやれるような結末を迎えてやる。



そう意気込んで、俺は教室入り口付近に設置されてあるアナログ時計に目を向ける。


教室内を静寂が支配する中、秒針がカチカチと時を刻む。


残り30秒、20秒、10秒……。



そして——



「始め」



試験監督教師の口から発せられた試験開始の合図と同時に、教室内にはクラスメイト全40名が一斉にテスト用紙を捲る音が煩いほどに響いた。



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