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俺が白月蒼子を嫌う理由  作者: kuroro
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絵画においても、やはり私の才能は大きく花開き、初めて応募したコンクールでは最優秀賞を獲得した。

私に絵を教えてくれた彼女は、それをまるで自分のことのように喜び「すごいすごい」と涙を浮かべて賞賛してくれた。


他人のことでそこまで心を揺れ動かせる彼女を、私は素直に凄いと思った。それは、私には到底出来そうにもないことだったから……。



それからは彼女と共に過ごす時間も増え、休み時間や放課後にはよく教室で一緒に絵を描きあったりもした。出来上がった作品は時々コンクールに応募し、その度に私は賞を貰った。


けれど、同じくコンクールに応募し続けた彼女は、最優秀賞どころか佳作にすら一度足りとも選ばれることはなかった。

それでも、絵を描いている時の彼女は、まるで夢の中にいるような幸福に満ちた表情を浮かべていて、絵を描くということ自体が彼女にとっては一番の楽しみなんだと、私は勝手にそんなことを思っていた。


心から絵を描くことを愛している彼女よりも、彼女に勧められてこの世界に足を踏み入れた私の方が評価されているという残酷な現実に罪悪感のようなものを覚えながらも、私は彼女と絵を描き続けた。


***


そして彼女と出会って1年が経過しようとした頃、両親の仕事の都合で急な転校が決まった。


そのことを彼女に伝えると、悲しげな表情を浮かべながらも私の転校を受け入れてくれた。そして彼女は私が転校する直前に、自分のメールアドレスが書かれたメモを私に手渡してきた。



「これで離れてても、蒼子ちゃんとお話しできるね!」


「ありがとう。向こうに着いたら、メール送るわね」


「うん。……わたしもいつか、蒼子ちゃんと同じくらいたくさんの賞を取れるように頑張る。だから、蒼子ちゃんも描くことをやめないでね」


私はそういう彼女に向かって、しっかりと頷きを返した。



——そうして私は小学5年生の頃、転校先の学校で彼……皇晴人と出逢った。


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