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ジェンガ(2)

「僕は地下鉄の駅で駅員をしていました。

小さい頃テレビで見てからずっと憧れていて、将来の夢と聞かれれば電車の運転士!と迷わず答えていましたね。


僕は大島出身なので、高校を卒業してからは会社の寮で生活を始め、来る日も来る日も電車を見ながら『早く運転士になりたい』と想像をふくらませていました。


しかしある日僕の夢は叶わなくなりました。


酒に酔った男性に顔面を殴られ、うずくまって体を守ろうとした際に横から蹴られてホームに落ちてしまったんです。


幸いすぐに仲間が警察を呼んでくれたため、その酔っ払いは殺人未遂で御用となりましたが、打ち所が悪かったんでしょうね。

目に傷がついてしまい、このように眼鏡が手放せず肩も上げると痛みが走るようになりました。


運転士になるためだけに、ずっと大切にしてきた視力だったのに……。


残念ながら運転士の試験には不合格、目標を失った僕はあの時列車が来て死んでいれば…と考えるようになり自殺未遂の末、ここに来たということです。」


衝撃的だった。

真面目に働いていただけなのに突然知らない人に殺されかけ、目標も健康な体も失ってしまうなんて……。


「1度改札を出てしまえば、その切符は使えない。

僕の人生も前途無効なんですよ。」


目の前で大きな音を立てて、ジェンガが崩れていった。

彼にとってはもう済んだ話。

「酒のせいで覚えていない。」


それでも私は、名も知らぬ彼を


絶対に許さない。

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