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決められた配属

「良かったですね咲さん、結局私たちも採用って事になって。」


社員寮への道中の最中、リンネは励ますように言った。


「でも...あの口ぶりから察するに、私の待遇はそんなに良くないと思うわ。」






全員採用、そんな茶番劇を繰り広げた後にサガミは女を侍らしながら言った。


「採用者は既にこちらで登録してある。遠くから遥々来た者もいるだろう、今日は一度解散とする。」


「それで、だ。じゃあ次はいつ来れば良いのか、という話になるが。」


「君達は一ヶ月後の入社式までは、好きに過ごして貰って構わない。」


「気ままに過ごすも良し、仲間を作るも良し。そして、ペルメテリアで働いてみるのも良し。」


言っている意味がわからなかった。


「君達ぼ配属先は既に決まっているんだ。だから、一ヶ月の間仮雇用という形態で働いてみる事もできる。」


採用後のインターンシップだろう。

元の世界でも採用者が理想と現実ギャップを感じて入社後すぐに退社、という事が無いように行う、と本で読んだ。


「仮雇用に際して、君達はここ、ペルメテリアに住居を構える事もできる。」


「社員寮って奴だ。簡易的な手続きを踏めば即日部屋が与えられる。」


「さ、質疑が無ければこれで解散...だ。質問のある者は?」


皆納得しているのだろう。

誰もが沈黙に埋もれ、質問など無いという顔で突っ立っていた。


勿論すぐさまこの静寂は打ち破られる。


「配属先って言うのは見れるのかしら?」


そう問いただしたのは影の薄い転移者だった。


「ラオさん、見せてやってくれ。」


「承知。」


そう言うとラオは紙切れを一枚、それぞれの顔を見ながら渡した。


「それが君達の配属先だ。」


「あるのかよ。先に渡せや。」


「あ?」


「すみません...。」


三下と頭の会話を終え、咲は手元の紙切れを覗く。

突飛な参加とはいえリンネと自分の配属が決まっている事に驚いた。


「ええと?地下炭鉱及び特殊加工専任工業課、作業士...?」


「重機でも扱うのかなあ?」


「あ、私と同じですね課ですね。」


「どれ...ってお前監督官じゃねえか!!絶対私より上の役職でしょ!」


周りを見ると白い目線に取り囲まれていた。

騒いだのは咲だけだったようだ。


「ちょっと!私は転移者なのよ!?重役のポストとか無いの?」


「咲さん...あなたが自分を転移者だと称して、何か上手くいったことが一度でもありましたか?」


エルフはあきれた様に言った。


「まあ、確かに転移者なら『十四会議』の一席座る事が出来るが...残念ながらもう埋まっててな。」


「それに、お前が転移者だってまだ確信していない。本来ならペルメテリアに入社すら出来ないんだぞ?」


「むむむ...甘んじて受け入れるわ...。」


結局、狂人の理不尽な要求をトップが退け、その場は収まった。


他の者は自分が置かれた立場に一点の異議申し立てが無い、という表情で受け入れているようだった。





「あー、クッソ。おかしいわよね!なんで学校の制服を来た奴があんなに恵まれてるの?」


サガミの服装は、どこかの高校で支給されるようなブレザーの制服だった。


転移してから衣替えをしていないのだろうか?


「確かに特徴的な服装でしたけど...なぜ其処を強調するんです?」


「特徴が無さすぎて覚えてないのよ、なんか中性的な顔立ちだったのは覚えてるけど。」


ああいう顔立ちだから誰からも好かれるのだろうか。

それとも人柄か、思案しても意味がないが。


「咲さんはもう少し興味って物を持ちましょうね? そしたらああいう可愛い女の子に囲まれますよ。」


「私は別にハーレムを作りたい訳じゃない。」


「ふうん...。」


「何よ。なんでそんな含みのある返事をするの。」


「思い返してみると...私って咲さんの好みとか知らないなって。」


「五年も一緒に居るのにね。私もリンネがエルフのお姫様って事しか知らないわ。」


二人の間に沈黙が流れた。

互いがその事実に関して思いを巡らせたのだろう。


「ペルメテリアでは、少しくらいお互いの認識が増えるといいですね。」


「そう...ね。私も主人として、一人の奴隷の事くらいは頭の片隅に入れておいた方が良いわね。」


丁度社員寮が近付いた事でその会話は終わった。




「すみません!すみません!」


手続きを行おうと寮に足を踏み入れたらこれだ。


人事課のグローリアが相も変わらず端末を片手に謝り倒していた。


「はい、お願いしますっ...はあ...。」


丁度連絡は終わったようで、端末を顔から離すと疲れた様に息を漏らした。


「先程はどうも、グローリアさん。」


「あ、面接の...!ここに来たってことは面接に通ったんですね!」


爛々とした眩しい瞳を咲に向ける。

実際は、幸運だとは言えなかった。


「あ、社員寮の手続きですよね!」


「簡易的なものだと聞いたので。」


「このグローリアにお任せ下さい!先輩として、後輩を助けてます!」


彼女は心の底から嬉しそうに咲の前で胸を張った。


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