有閑な午後のひと時?
例えて言うなら、ひびの入った玉子のようなもの。
美味しそうな真っ赤なりんごの色と艶。
でも、そのひびからは、緑色の白身状のゲルがはみ出していた。
うん。伊藤君 なーにーをー持っているのかな。
なんだか、湯気もでてますが?
「い…伊藤君?何を持っているのかな?」どきどきしながら、伊藤君を伺ってみる。
「苗字よりも、名前がいいなぁ……あ、これ?さっき、羽をはやしたコスプレのお姉さんから「割らないように少しの間預かって下さいって、断る間もなく渡されたんだ。 …少しひびが入ったけど、勝手に押し付けられたしまぁ、大丈夫だよね? ところで、一押しの店はここから少し歩いた…」
いやいや!!だんだん緑のゲルが垂れてきてるし!!
「…イタリアンになるんだけど、なかなか美味しくって。僕のお勧めは……」
湯気!!なんか水蒸気がブワーって!!
「……聞いてる?鈴木めいさん?… そろそろ、店に移動しようか。 さっきの人も預かってるもの取りに来ないし、このままここに置いておいていいよね?」
そう言って道に玉子を置いたとたん。
水蒸気がなおさら激しく吹き出し、緑のゲルが道に伸び…
「ああああああああ! ひびが!!」
叫び声と共に、目の前がブワッと白い羽で埋め尽くされた。
その声と共に。玉子がぱかっと割れた。