魔法のクラス
魔法のクラスは、いろんな人が書いてますが、こういうのも有りかな…ということで。
魔法のクラスで最初に教わったのは魔法憲章だ。これは、全ての魔法使いが従わなければならない、いわば、魔法使いの憲法とも言えるものだ。
魔法のクラスの先生によれば、これは、魔法使いの一族が魔法を使わない一般人から迫害を受けないため、あるいは、特殊な能力を持っているため生きることに疑問を感じる魔法使いを救うために定められた規定だそうだ。
これは、
第一条魔法は、世のため人のために使うべし。
第二条魔法の使用に当たっては、質量保存の法則を忘れずに、不自然なことは行わない。
第三条魔法を使わない人々に魔法の存在を気付かれない。
となっている。
第二条の「質量保存の法則」とは、イギリスの魔法使いのマーリンが発見した法則で、魔法を使用した場合の前後を通じて、地球上に存在する当該物又はその原材料の質量は変わらない、と言うものだ。
私達魔法使いは、この規定の範囲内でのみ魔法の使用を許され、万一、この規定に違反した場合、最悪、霊力を取りあげられることもある、と聞いた。どうやってするのかは、教えてもらえなかったけど…、痛いんだろうか。
魔法憲章の次に学んだ魔法使いの歴史は、驚くべきものだった。かって、魔法を使う部族の中でも代表的な二つの部族(代表的な人物の通称から、『大猿』の部族と『しゅけん』の部族と呼ばれている)のは、能力の衰退を防ぐために取った方策の違い(『大猿』の一族は、魔法を使わない人々の中から霊力の高い娘を攫ってってきて子孫を増やそうとした。対して、『しゅけん』の一族は、魔法使い同士の結婚を繰り返した)から戦争状態だったという。
だが、戦いによって若者が激減する事実に気付いた両部族の長老が和解して、今日の方法――魔法使いの血筋をデータベースで管理して、才能ある子供達を一堂に集めて、魔法教育を行うとともに、魔法使い間での結婚を奨励する――が取られるようになったのだ。
学校を合コンのように位置づけるなんて、面白いことを考えたものだ。ただ、そのせいか、魔法使いの若者は優秀な子供を残すことが人生の目的だと思い込んでいて、価値観が違うっていうか、どうやっても付き合う気にはなれない。まあ、三人組はマシな方だけど。
虹色の魔法には、どれも力があるが、藍の読心術は苦しくて、こんな力はない方がいいのに。と、何度思ったか知れない。
相手が心の底でこっそり考えていることを目の前に突きつけられるのだ。
口では、優しいことを言っていても、心の中で馬鹿にしていることもあれば、「努力します」と、約束しながら、心の底では踏み倒している場合もある。それが、全部こっちに筒抜けになるのだ。
一番、苦しかったのは、若い女の子だとして心の中で弄ぶことだ。まるで、AVだ。それも、主人公は私なのだ。実際にやったら犯罪だろうが、心の中だから許されるとばかり、思い切り弄ぶのだ。
相手が魔法使いの場合は、立派なセクハラだからひっぱたいてやった。だって、私に見えることを知っていてやるんだからセクハラ以外の何ものでもないじゃない。でも、魔法を使わない一般人が相手だとどうしようもなくて、ものすごく消耗した。
静香は力にフォーカスを掛けて、相手の考えていることを極力読まないようにしている、と言っていた。
詳しくは『吉岡綾乃は魔女をやめたい』で。