静香の霊力
中島と小西が静香の霊力低下の対策を講じます。
ⅩⅣ 静香の霊力
毎日、平穏に過ぎた。少なくとも私とジュニアの身辺は、平穏そのものだ。
私はレポート作成の合間にジュニアととりとめのない話をし、ときどき四百十年前の緑池へタツヤに会いに行った。
中島は、週に一、二回遊びに来て、私とジュニアをまぶしそうに見ていた。
私は、ジュニアの暖かい眼差しの中で、ふんわりとした安心感に浸っていた。ジュニアの魂の色まで感じられて、このまま四百年前の緑池へ移住したいとさえ思った。
ある日、中地、ジュニアそして私の三人で魔法使いの霊力の低下――ジュニアによれば、静香の霊力は低下しているらしいし、長老によれば、佐藤の霊力も低下しているらしい。われわれ魔法使いが解決しなければならない重大な問題だった。魔法のクラスの安本先生によれば、最近、魔法使いの霊力が低下する傾向があるが、原因は分かっていないとのことだった。これは、遺伝子レベルでの能力が消滅するのではなく、個体としての能力が発動しなくなるのだ――について話していると、中島の 携帯が鳴った。小西だった。小西は、
静香の霊力の低下を心配して中島に電話したのだ。
連絡を受けた中島が眉をひそめた。
「透によれば、現時点でのシズの霊力は、八割方まで落ちているらしい。これが、七割まで落ちると、いくら七色だと言っても、七×七=四十九だから、五色の僕より、霊力が低くなることになる。一度、会って見てくる」
そう言って、山道をえっちらおっちら降りて行った。
中島は、静香が小西を選んでから、静香や小西と会うのを遠慮している。小西も私達に遠慮していて、以前は週に二、三回遊びに来てたのに、この頃、ほとんど顔を見せない。
でも、中島は大変だ。山道を苦労して登ったり降りたりしなければならないのだ。
次の日、中島が再び緑池へ現れた。今度は小西と一緒だ。小西が中島とテレポテーションしたのだ。
久しぶりに見た小西の癖のある笑顔に胸が痛んだ。長老と対決したとき以来だ。
ジュニアがいてくれれば良かった。ジュニアは毎日来てくれているのに、この日は、まだ現れていなかったのだ。
私の胸の内を知ってか知らずか、中島が冷静に言った。
「ジュニアや透の言った通りだ。シズの霊力が落ちてる」
「そうだろ?」
小西が畳みかけた。
「何故だろう?」
二人同時に首を捻る。従兄弟同士っていうより、双子みたいだ。
この二人は、静香のことになると真剣になる。私に何かあったら、こんなに一生懸命悩んでくれるだろうか。でも、二人とも心を読むのだ。あんまり気にしないことにして、事務的に対応することにした。
「シズは、他人のために魔法を使わんからや。あんた達は、少なくとも、シズのために魔法を使うてる。シズが幸せになるようにって。でも、シズは、自分のためにも使わんけど、他人のためには、もっと使わん。だから、霊力が落ちるんや」
綾乃にしたら、勝手にたやってくれって気分ですね。




