長老との対決
いよいよ綾乃が長老と戦います。
ⅩⅡ 長老との対決
長老から呼び出しがあった。こんなの初めてだ。普通は、学年委員長の静香が、長老の指示を受けに行くのだ。個人的な呼び出しなんか聞いたことがない。
「シズがトを選んだから、私も、カか佐藤さんのどっちかを選ぶようにって、文書が来てた。きっと、あれのせいだ」
私が言うと、ジュニアが訊いた。
「綾乃さんは、何て答えたんですか?」
「無視するのも失礼やと思たから、長尾くんが良いから他は要らんって答えといた」
「向こうは、私が龍だって、知ってるんでしょうか?」
「僕の所へ来た文書には、綾乃が長尾がいいなら、仕方がないので諦めるって、答えておいたから、問題ないはずなんだけど……シズが報告したんだろうか?」
「佐藤さんの話かも知れません」
「大丈夫。私、戦うから」
「それが、一番心配なんだ。僕達も付いて行っていいか?」
「ダメ。一人でやる。シズも私が一人で戦うのを見た方がいい。あの人、自分がパーフェクトで最強なのに、あんた達に護ってもらわけりゃならないって思い込んでる。三人の中じゃ、あの人が一番強いのに」
「確かに。だからでしょうか?」
「?」
「あの人の霊力が落ちています。気付きませんでしたか?」
呼び出されたのは、公民館。一番広い多目的室へ来い、とのことだった。
中島とジュニアは同行すると言い張ったが、一人で行くことにした。
巻き添えにしたくなかったし。
もし、私が敗れて、自由意思を奪われるようなことになっても、私が望んだことだ。何もしないで良いように操られるよりマシだ。
そう言うと、二人は同行を断念した。
ジュニアは、心配そうに私を見つめて、ゆっくり抱きしめてくれた。私がジュニアの胸に顔を埋めると、中島が半ば信じられないような顔をして言った。
「よく考えると、綾乃を抱けるのは、ジュニアだけなんだ」
私は、ふわりと笑って説明した。
「これは、戦うための手段なんや。こうなると思ってたから、設定を工夫してある。つまり、電気の魔法をかけっぱなしにして、なおかつ、強化してあるんや」
「魔法をかけっぱなしにすると、解除しにくくなる。君が勝ったとしても、それが解除できないと、一生、誰とも触れ合えないことになる」
「いいんや。上手く行かんでも、長老の好きにはさせん。そのくらいのリスク負わんと、長老には勝てへん」小さな息を吐いて笑った。「それにね。どっちにしても、状況は変わらへん。前も、抱きしめてくれたのは、タツヤだけやったんやから」
中島の顔が歪んだ。
(君は透とあんなに仲が良かったのに。何もなかったのか?)
(カ。自分ができんことを他人に求めたらあかん。あんた達二人ともシズが好きなんや。私は、目の前でシズのことを考えてる人とそういう仲になりたいとは思わん。藍の力がなかったら、展開は変わったかもしれんけど、それでも結果は変わらんかったやろ。選ぶのは……シズなんや)
(君は、どうして透を選ばなかったんだ?君だって七色なんだ)
(トが可哀想やろ?ズッとシズを好きやったのに)
中島が絶句した。
心が読めないジュニアが二人の気配を察して言った。
「いずれにしろ、これが綾乃さんを護ってくれます」
男前の綾乃でした。




