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未来の色  作者: 月光の詩
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未来の視点:0日目:真里菜

「ほい! バトン貰ってきたよ」

 幸恵さんは、勇治君に緑色のバトンを手渡した。

「で、対戦相手なんだけど……」

「葉子お姉さまー!」

 幸恵さんの言葉を遮るかのように大きな声が聞こえてきた。そして、その声は紗枝ちゃんよりも幼さをたたえている。

 振り向くと、声の主はこちらに向かって走ってきて、

『バフッ』

 と、葉子さんに抱きついた。

「あ、向こうからやってきたわね」

 と、幸恵さん。

「お姉さま!今日も肩を並べて競い合えるなんて、真里菜はとっても嬉しいです!」

 ――真里菜ちゃん。葉子さんを『お姉さま』と慕う低学年部の女の子。そして、

「おい、真里菜。葉子が困ってるだろ?」

「なによ!勇治は引っ込んでなさいよ」

 ……勇治君の妹。

 不良少年を思わせる風体の勇治君とは違って、艶のある栗色の髪と可愛らしさあふれる風貌は本当に兄妹きょうだいなのだろうかと疑ってしまうほど。

 そして二人は何時も喧嘩ばかり。仲が悪いという事でもなさそうなんだけど……。

「お姉さま。真里菜は、迷惑ですか?」

 真里菜ちゃんは縋る様な仕草で葉子さんを上目づかいで見上げている。

「い、いえ、そんな事はありませんわ」

 葉子さんは、少し困ったような表情を見せたが、真里菜ちゃんの行動を咎めることは無かった。

 それどころか、いとおしい者を見つめるような柔らかい表情をみせ、真里菜ちゃんの頭を優しく撫でている。

 一連の行動を見ていると、まるで本当の姉妹ではないのだろうかとさえ感じてしまうほどです。

「お姉さま、大好き!」

 真里菜ちゃんは葉子さんに胸に顔を埋めている。

「今日は、お互い頑張りましょうね」

「はい!」


「おーい!真里菜ー!何やってるんだよ!」

 真里菜ちゃんを呼ぶ声。同じ班の子だろうか?

「うるさいわね!今行くわよ!」

 邪魔が入った事に苛立ったのだろうか? 真里菜ちゃんは声のする方向を睨んでいる。が、

「お姉さま。もし私達が勝ったら、何かご褒美下さいね」

 と、葉子さんに向き直ると満面の笑顔。

「そうですねぇ。……では、何か考えておきましょう」

「やった!では、お姉さま。また後で」

 真里菜ちゃんは少し名残惜しそうな表情を見せたが、お辞儀をすると、駆け足で自分の班に戻っていった。

「それにしても、真里菜の班が相手かよ……あいつ、結構足速いぜ?」

 勇治君は頬を掻きながら、面倒くさそうな表情を見せる。

「まあいいじゃないか。……真里菜ちゃん可愛いし」

 耕一君の発言。

 皆の視線が一斉に耕一君に集まった。

 今のは、突然の爆弾発言ですか? 実は真里菜ちゃんが好きとか、そんなんですか?

 私を含め、女性陣は、好奇の眼差しで耕一君を見ている。

「……まさか、お、お前、真里菜の事が……。好きなのか?」

 一方、勇治君は少し表情が違う。何か、チョット震えてるし……。

「お兄様と呼ばせてください!」

 耕一君が勇治君に抱きつこうと、両手を広げ、駆け寄った。……が、

「と言うのは嘘だ」

 ――と、カタカタと震えながら固まっている勇治君の横を通り過ぎる耕一君。

「そっか、そうだよな。……はは、は……」

「あたりまえだろ? お前が兄になるなんてお断りだね。真里菜ちゃんには、ゴスロリのコスプレをして欲しいだけだ」

 ……耕一君。それはそれで、どうかと思いますよ?

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