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 第五章 ニートの活躍とマンフォールの落とし穴について その1


 第五章 ニートの活躍とマンフォールの落とし穴について。



 もちろん、株式会社GENKAKUの設立は法律にのっとったものではなかった。すべては金とパラノイアの力である。妄想によって生み出されたエセ法律にのっとって、株式会社GENKAKUは次のように設立された。設立の形式は発起設立。発起人は雨森ただ一人。総会屋の能力は集会の規模が大きければ大きいほど強くなるので、資本金は5億円を軽く越えた。サクセスストーリーもクソもない設立時からの大会社である。一人会社の利点をいかして、創立株主総会は雨森の独断と偏見に代えられた。テキトーに監査役3人やら会計監査役やら取締役3人やらが決定される。議長は永世中立国たる幻覚放送局(忍者二人)。基準日を今日としたうえで、旧幻覚町住民全員に無償で株式が割当てられた。住人が全員株主。この二つの資格はアダムとイブのように離れがたいものとなる。株主の資格を失った者は幻覚町の住民基本台帳から抹消されるという鬼ルールが定款に記載され、さらには、無償割当される株式には全部取得条項がつけられた。このルールを要求したのはニートである。

「いいか弟よ。これが俺らの作戦だ」

「どういうこと?」

 雨森がぼんやり質問した。ニートはニヤリと笑ってから言った。

「役職者の能力は幻覚町と切っても切れない関係にあるよなあ。幻覚町の住人でなくなったら能力が解除されちまうんだからさ。ということはだ、妹ちゃんの株式を強奪して、幻覚町の住人資格を奪っちまえば、あとはおのずと勝利が見えてくるという寸法さ」

「でも、どうやって姉さんの株式をぶん盗るのさ」

「そのための全部取得条項付株式だぜ!」

 こういうことらしい。

 全部取得条項とは、総議決権数3分の2以上の賛成をもって、株主がもっている株式を強制的に会社が取得することができる約束ごとのことをいう。ニートはこれを利用して、大統領を幻覚町から追い出し、その能力を剥奪するつもりだった。

「だから、俺様ちんがやることは一つだってばよ」

 ニートが楽しそうに言った。

「総議決権数の3分の2以上の賛成議決権を得るために努力する。つまり、奴隷ちゃんたちを懐柔・同盟したあげく寝返らせて、3分の2以上の賛成数を確保する。そして全部取得条項付株式を実行する。これが作戦の全容だ」



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