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涸沢は一つ、閃く

「旦那が浮気しているようなんです。

毎晩毎晩毎晩12時を過ぎて帰宅してまいりますしコロンの香りや胸元にキスマーク、それにラブホテルのライターがポケットにあったりするんですが旦那を信じたい気持ちもあるのです。


どうか調査をしてみ

「奥さん、完全に黒ですな。次からはもう少し賢い旦那をもち、賢い自分であることです。

料金は結構。お引き取りください」



「涸沢探偵長、俺の仲間がどうも裏の連中とつるんでるみてえなんだ。麻薬の取引や恐喝なんかも

「そりゃめでたい。だが僕の知ったことではありませんな。料金は結構。」



「涸沢探偵長、家内が先日殺されました。警察の調査も進展していないようで、涸沢探偵長の「マッチ箱連続殺人」の話をうかがって涸沢探偵長ならと

「そりゃご丁寧にどうも。不倫相手にお伝え下さい。シャツのアイロンはほどほどにしておいてくれと。

あと素敵なカフスですが浮かれすぎでございますね。洋服の冬山のスーツにカルティエのカフスとは。おや、ブレスレットは日付けつきですね。

奥さんが亡くなったのは昨日?一昨日?


一週間ですと?ならそれ以降に買ったブレスレットなわけですねそのルイヴィトンのペアブレスレット。


自首なさい。今から。料金は結構。」




「涸沢探偵長、我が家の電気が切れてしまったんですが取り替え方がわからな

「そんな事はテレビ番組に任せたまえ。探偵ナ○トスクープじゃないんだ。有り金全部おいていけ。相談料だ」


探偵事務所を開いてからというもの、ずっとこんな調子だ。


なにか素敵な事件は起こらんものか。



「涸沢探偵長」

「おお、君か。久しいな、桜井助手。」


彼はかつて、僕が学生だった頃に所属していた読書倶楽部の部長である。

今は僕の助手をしてもらっている。(.といっても、本業で飲食店を経営してるそうなので正式に在籍しているわけではないが)

現在はちょくちょくここへ来てはひやかして帰るのだった。


「新聞を見たか?」

「いや、見ていない。」

「ルーブル美術館で超高額の絵が盗まれたらしい。世の中には大怪盗がいるもんだな」

「そりゃたいしたもん…まてよ……。」

「どうしたんだ、涸沢探偵長。」




「事件がないなら、起こせばいいんだ…」




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