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「コールドスリープ」

 家族に別れを告げて、私は眠りにつく。

 コールドスリープ、俗にいう冷凍保存というものだ。

 私の体は不治の病に侵されている。

 医者は私の余命はあと1カ月だと告げた。

 私はその言葉で、コールドスリープを決心した。

 お金はかなりかかったが、かまわなかった。どうせ1カ月もすれば私は死んでしまうのだ。

 ならば、最後の贅沢を思ってほしい。

 家族や親せきはみんな反対した。なぜならば、私がコールドスリープに入ってしまったらつまりは生きた私にはもう二度と会えないということだからだ。

 私が、目覚めるときは100年後かはたまた1000年後か…

 その頃には、不治の病と言われている私の病気も治せる特効薬が開発されているかもしれない。もしかしたら、不死の技術も開発されているかもしれない。

 私は、未だ見ぬ未来への期待と、少しばかりの不安を胸に、泣きじゃくる家族に見送られながらカプセルの中に入れられ、コールドスリープに入っていった。


 いったいどれだけの時間が流れただろう。

 唐突の意識の覚醒。

 私は目を覚ました。否、強制的に起こされた。

 混沌とした意識の状態からの強制的な覚醒。

 何がどうなっているのか。

 混乱しながらも、私は瞼を開ける。

 白くやわらかい光が辺りを満たしていた。

 思考が鈍く、状況が理解できない。しかし、しばらくするうち、私は自分の置かれた状況を思い出していた。

 そうだ、私はコールドスリープに入っていたのだ。

 目覚めたということは、私の病気は治ったのだろうか。それとも、不死の体になったのだろうか。

 それにしても、せっかく私が起きたというのに誰もいないとはどういうことだろう。

 私が体を動かすと、かすかな機械音がした。

 白い光に線が入り、ゆっくりと広がっていく。そうだ、私はカプセルの中に入れられていたのだった。

 ならば、人の気配がしないのも納得できる。

 カプセルが開くと、私は体を起こした。

 部屋は白壁で天井も床も真っ白だった。それほど広くない部屋に私が入っていたカプセルだけがぽつんと置いてあるだけの寂しい部屋だ。

 おーいと声をあげてみたが、誰も現れない。

 少し肌寒かった。私は着ているのは、コールドスリープに入る前に着ていたのと同じ、手術の患者が着るような薄い布の服だけだ。

 首をかしげている私の目の前で、部屋の扉がいきなり開かれた。

 扉の向こうにいたのは私にコールドスリープを勧めてくれた医者だった。

 その医者はひどく慌てた様子で、私の肩をつかむとがくがくと激しくゆすった。

 逃げて下さい!

 医者は叫んだ。見れば医者の後ろにはもう二度と会わないだろうと思っていた家族がいるではないか。

 ということは、まだ未来ではないということか。コールドスリープは失敗したということか。

 私が色々と考えていると、家族も口々に逃げようと言う。

 分からなかった。何が起こっているのか理解することができなかた。

 すると、私の妻が説明してくれた。

 私がコールドスリープに入って1カ月もしないうちに、全世界は戦争状態になった。

 世界各地で、争いが起き何億もの尊い命がこの1カ月程の間に失われていった。

 そして、全世界の首脳たちはついに世界各地に向けて核ミサイルを発射したというのだ。

 私は、パニックになる妻をなだめゆっくりと確認するように質問した。

 あとどれくらいで、核ミサイルは到着するのかと。

 30分後よ!

 妻はの叫び声を聞きながら、私はめまいがするのを覚えた。

 そうだ、もう一度眠りにつこう。

 そうすれば、次目覚めた時には、きっと違う世界が広がっているはずだから…


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