「改造人間」
その少年は、小さい頃に大きな事故に遭った。その当時の医療技術では到底治すことのできないほどの大怪我だった。
しかし、一人の科学者がやって来て悲観にくれる少年の両親に言った。
私ならこの少年の命を救うことができます。科学者はロボット工学の権威で、少年の体を機械に改造していくことで少年の命を救ってみせるというものだった。
藁にもすがる思いで、少年の両親は科学者にすべてを任せた。
それから、十年もの時が流れる。
青年はベッドの上で目を覚ました。
頭がぼんやりとしている。
包帯でぐるぐる巻きにされた体。
「おめでとうございます。成功です!」
白髪の科学者が興奮した声で叫んだ。
「息子さんは助かりましたよ」
ありがとうございますと彼の両親が白衣を着た男に頭を下げている。
青年は、言葉を発しようとした。
しかし、言葉が出ない。それどころか、身体中に激痛が絶え間なく襲い、気を失ってしまいそうだ。
「彼の体を完璧治すためにあらゆる部分を機械に変えていきました。
人工心臓、人工肝臓、人工骨格…」
科学者の言葉が長々と続く間も青年は苦しみ続けた。
---なぜ気づかない。こんなに苦しんでいるのに!
なぜ分からない。
青年は、もがき苦しみながらやっとの力で目を開けた。
そこには青年に背を向けた両親の姿があった。
---どうして、背を向けているのだろう。
苦しみながら、青年は考えた。
両親も科学者もこちらには見向きもしていない。
「そして、最後に人工の脳に取り替えました。いやはや、これが実に難しかった。」
---何だって!
青年は、心の中で叫んだ。
そこまでしてしまっては、改造ではなく、ただのロボットを作ったのと何ら変わらないではないか。
彼らの目の前には青年の姿をした…ロボットがいた。
「お父さんお母さんありがとう。」
爽やかな笑顔でロボットは言った。
「交換した臓器は実験用に残してありますが、これは尊い科学技術の貢献のために、わたくし共に寄贈していただけないでしょうか?」
---何を言っているんだこの科学者は!
「ええどうぞご自由に!」
科学者の言葉に、ロボットと楽しく会話を交わす青年の両親は快く承諾した。
---ボクはここにいるんだ!
青年の心の叫び声が、静かに響き渡った。




