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「想ひ」

 あなたは私のことを大切だと言ってくれました。


 私はあなたのその言葉を信じて、今まで生きてきました。


 あなたの心、嬉しいこと哀しいこと、怒りや愛する気持ちすべてを受け入れました。


 あなたのやさしい口づけが私に勇気を与えてくれます。


 毎日毎日、あなたは私にやさしく接してくれました。




 でも、私の言葉は、あなたには伝わらない。


 この身を焦がすような想ひを声高に叫んでも決してあなたの耳には届かない。


 それが二人の運命。お互いに毎日触れ合っているのに心はいつも一方通。


 それでも私は構わない。


 二人だけの時間がいつまでも続くのならば…




 しかし。




 いつまでも続くかと思われた平穏な日々は唐突にして失われました。


 私は、ある日腕を失ってしまいました。


 それは些細な事故。


 あなたのちょっとしたミスで起こった些細な、そして重大な事故。


 私は腕を失ったけれども、あなたへの気持ちは変わらない。


 でも、あなたは変わってしまった。


 私を見なくなった。私に触れなくなった。


 今までささやき続けていた言葉もなくなった。


 私は突然にしてすべてを失った。




 そして。




 私は捨てられた。


 やめてと叫ぶ私の声はやはりあなたには届かない。


 でも、私は諦めない。


 何度捨てられようとも、どんなに離れようともあなたの元へ帰ってみせる。


 そう、どんなことがあっても!


 あなたがもう一度私に振り向いてくれるまで!




 「ロンよりショウコ」




ショウコ「どうしたんですか、真剣な顔して」


ロン「いや、この前お気に入りだったティーカップをうっかり落として取っ手の部分が欠けてしまってね」


ショウコ「新しいのを買えばいいじゃないですか」


ロン「そう思ったんだけど、このティーカップ何度捨ててもどういうわけか僕のところにかえってくるんだよ」


ショウコ「不思議なこともあるんですね。それで、真剣な顔して何をしていたんですか」


ロン「いや、僕なりにちょっと頑張ってみようと思ってね」


 そこには、取っ手の部分をなんとかづなぎあわせたティーカップ。


ロン「何度も返ってくるこのティーカップの気持ちに応えてあげないといけない気がしたんだよ」

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