「落下する国」
私の家は、落下している。
それは比喩や、たとえではなく本当に落下している。
それは、じいさんのそのまたじいさんの代に起こった出来事だったという。
噂では、王宮の魔法使いが魔法実験に失敗したとも言われてるし、神の怒りに触れた人間たちへの天罰だとも言われている。
我々の国は唐突に「大地」を失った。
失うだけならまだしも、そのまま落下し始めたのだった。
人も、家も、動物も、森も、山もすべてが落下した。
初め、国民はひどく動揺し、恐慌し、パニックに陥った。
しかし、それから百年。父の代、そして私の代になっても落下はつづいていた。
慣れというものは恐ろしいもので、今ではこの「落下生活」にも慣れてしまっていた。
昔は石造りだった家も、今では周囲の落下物を集め水滴のような形をした建物に造りかえられていた。
窓から外を見れば、同じような速度で落ち続ける木や山も見ることができた。
離れ離れにならないように鎖でつなぎ国としてなんとか機能することができた。
雨も降る。しかも下から降ってくる。
太陽の光は天から降り注いでいる。
時々だが、下の方から大きな岩や木の欠片などが飛んでくることがあった。
どうやら、以前消失した大地の断片が、我々よりも下の方にある大地の欠片が、何かの拍子にはずれこちらに飛んできているようだった。
この落下に終わりがあるのか、もし終わりがあるとすればそれはいつのことなのか。
私は、これからもこの国に住み続ける。
いつまでも落下し続けるこの国に。
いつまでも…
「ロンよりショウコ」
ロン「いつまでも落下し続けている国があるらしい」
ショウコ「どうして、落下し続けているんですか」
ロン「呪いだとか天罰だとかいわれているみたいだね」
ショウコ「行ってみたいです!」
ロン「それは難しい話だね」
ショウコ「どうしてですか」
ロン「こことは次元が違うみたいなんだよ。それに…」
ショウコ「それに?」
ロン「落ち続ける国にどんな手段で行くんだい?気がついたら目の前を通り過ぎてしまうんだよ」
ショウコ「あ!」




