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「とある賢者の話」

 昔、あるところに小さな黒色村がありました。

 黒色村は貧しい村でした。村人たちには活気がなく、何をするにもため息ばかりついていました。

 村の近くでは良質な鉄が取れました。しかし、村人たちはその鉄でクワしか作りませんでした。

 立派な世界一の「良いクワ」です。

 でも、土地は痩せ、水場が遠いためなかなか作物が育ちません。

 その村に一人の青年がいました。

 彼も他の村人たちと同じように毎日ため息ばかりついていました。

(なにか良いことがないかな)

 青年は毎日何もせず、そんなことばかり考えていました。

 そんなある日のこと、青年は夢を見ました。

 彼の夢に中に女神様が現れて言いました。

「明日の朝一番に北に向かって進みなさい。きっといいことがありますよ」

(きっと、すばらしい「宝物」があるに違いない)

 青年は目覚めると、女神様に言われたとおり北に進み始めました。

「そんなことをしたって何も変わらないさ」

 村人たちは青年のことを笑い飛ばして見送りました。

 青年はひたすら歩き続けました。

 歩いていくうちに、青年は貧しい青色村に到着しました。

 村人は青年に言いました。

「私たちは近くの川から「水車」を使って水を引いています。畑には水がありますが、しかし良い道具がないのです」

 青年は黒色村に戻って「クワ」を青色村に届けることにしました。

 青色村の村人たちは大変喜びました。

「よし、せっかくいいクワをもらったんだ。黒色村の人たちに「水車」の作り方を教えてあげよう」

 青色村の人たちは黒色村に向かって行きました。

(「宝物「は見つからなかったな)

 青年はがっかりして、それでも諦めずに北に向かいました。

 歩いていくうちに、青年は貧しい黄色村に到着しました。

「私たちにはどんな季節にも負けない「良い種」があります。しかし、水が近くに無く、良い道具もないのです」

 青年は「良い種」を受け取ると、それを青色村と黒色村へ持って行きました。

 黒色村から「良いクワ」を青色村から「水車」の職人を青年は黄色村へ届けることにしました。

「なんと素晴らしいことでしょう」

 黄色村の村人達は「良いクワ」と「水車」に大喜びです。

(「宝物」は見つからなかったな)

 青年はがっかりして、それでも諦めずに北に向かいました。

 歩いていくうちに、青年は貧しい茶色村に到着しました。

「私たちには人の何倍も働く「良い牛」がいます。しかし、水が近くに無く、良い道具もなく、良い種もないのです」

 青年は青色村から「水車」の職人を黄色村から「良い種」を茶色村へ届けることにしました。

 茶色村の村人たちは大喜びです。

 お礼にもらった3頭の「良い牛」をもらって、青年はその牛達を黄色村と青色村と黒色村へ届けました。

 青年は黒色村へ帰ってきてびっくりしました。

 あんなに貧しかった村が、今では見違えるようです。

 村では「水車」が回り、「良い種」がすくすく育っています。そして、青年の「良い牛」を見て、村人たちは大喜びしました。

「これは素晴らしい「良い牛」だ。よし、この村に牛でも使うことのできる「良いスキ」を作ってやろう」

 青年は「良いスキ」を持って、茶色村に向かいました。途中で立ち寄った青色村、黄色村も最初に訪れた時よりも更に良くなっていました。

「あなたはなんと素晴らしい方だ」

 村人たちは青年に言いました。

 青年は首を横に振ります。

「世界にはまだまだ困っている人がいるはずです。私はその人達のために頑張ろうと思います。まだ「宝物」は見つかっていないのです」

 青年は村人たちに見送られながら北に向かって旅と続けていきました。



「ロンよりショウコ」


ロン「何をそんなに真剣に読んでいるんだい」


ショウコ「偉人の本ですよ」


ロン「ああ、『聖人』の話だね。貧しい村に現れては、いろいろな知識や技術を教え、村をどんどん発展させていった素晴らしい人だったみたいだよ」


ショウコ「でも、最後にこの『聖人』の言葉に『私は最後まで宝を見つけることができなかった』って書いてあるんですけど、どういうことですか?」


ロン「さあね、彼はもしかしたら自分が『宝物』だったてことに気づいていなかったのかもしれないね」

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