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間話001「ロンよりショウコ」
暗い部屋だった。
ランタンの明かりに照らされて周囲にうずたかく積まれた書籍が浮かび上がってくる。
そこはどうやら図書館のようだ。
窓はない。ランタンの光のみが唯一の光源だった。
そこには一人の少女がいた。
栗色の髪は肩できっちりと切りそろえられ、同じく栗色の瞳には強い意志が感じられた。
「世界はまだ不確定だ」
唐突に声をかけられ、驚いたように振り返る。
声の主は青年だった。長身の黒髪黒瞳の青年だ。
「この本に閉じ込められた数多の世界は、開放を求めている」
青年の言葉に少女は静かに頷いた。
彼女は青年によって救い出された。彼女の目の前にある本の中からだ。
それは革張りの分厚い本だった。
「閉ざされた世界の開放を!」
少女は本を開く。
開かれたページには何も書かれていなかった。
否、羊皮紙と思われるそのページに文字が浮かび上がってくる。
「行こう。新たしい世界へ」
光が二人を包み込む。
そして…
広大な図書館には、細々と光るランタンの光のみが残された。




