「不思議な動物」
これはと私のお気に入りの観察記録だ。
彼らは自分たちを「ニンゲン」と称し、この世界のいたるところで繁殖を繰り返している生命体だ。
彼らの身体は貧弱そのものだ。
前足は、どうやら退化してしまっているらしい。歩くとき、走るときにはまだ退化していない後ろ足を使っている。前足が退化してしまっているせいだろう、動きは鈍く、飛び上がる事はほとんどできない。
爪は短く、木に登ることもあまりできないようだ。
知能そこそこあるようだがそれど高くはない。
同じところで何度も転ぶ、前足で持っているものを簡単に落とす。
耳も退化してしまっている。我々の感知する音域の半分も聞き取れていないようだ。
つがいなのだろうか、いつも同じオスと一緒にいることが多い。
目もあまり良くないようだ。暗闇ではほとんど見ることもできない。
泣き方も様々。今我々が解析できているのは「ゴーハン」という単語と他数種類のみ。他にも様々な鳴き声をあげているのだが、特に意味はないようだ。
彼らは毎日決まった行動しかできない。決まった時間に目を覚まし、決まった行動パターンでしか動けず。そして、決まった時間に睡眠をとっている。
どうやら彼らには「シゴート」または「ガァッコ」と呼ばれる場所に毎日集まり何事かの儀式を行っているようだった。
その儀式に何の意味があるのか、毎日同じ場所に行き、ほとんど動くこともなくただ体力をすり減らして住処へと帰ってくる。
まったく生産性に欠く行動だ。
彼らの行動には不可解なものが多い。
彼らは「ケータイ」と呼ばれる四角い箱を毎日のようにひ弱な前足に持ち、触っている。彼らの習性なのだろうか、この作業を行っていないと彼らは病気になってしまうらしい。
彼らは他の種族を仲間を認識する習性があるようだ。種族としてこれは大いにマイナスである。本来、生命体は自らの種・遺伝子を残すことのみその意義を見いだせるはずなのだ。しかし、この「ニンゲン」なる種族にはその特性が見られない。他の種に対しても、自分たちの餌を分け与えその繁栄の手助けをしている。
我々も時折、否、かなりの頻度でそれにあやかっている…奉仕をさせてやっている。
不可解だ。
我々の仲間の情報によると、彼らは他の種族を繁栄させることに一種の喜びを感じているということだ。
しかし、私はこの種族を割と気に入っていた。
彼らの創りだす「ホーム」なるものは居住性が高く、我々もよく利用させてもらっている。
その気になれば、彼らを服従させることはたやすい。それはいくつかの実験データがものがたっていた。
我々はそれでも、彼らを温かく見守っているつもりだ。
何世代か世代交代を繰り返すうちに、きっと彼らも進化していくだろう。そして、いつの日にか我々と対等に語り合える日が来るのかもしれない。
「ロンよりショウコ」
ショウコ「さきから、あの野良猫が私の事ずっと見つめているんですけど…」
ロン「君に興味があるんじゃないかな」




