「クマの王子とウサギのお姫様」
クマの王子とウサギのお姫様が二人で旅をしていました。
二人の目的はただひとつ。
それは、『幸せのタマゴ』を見つけることです。
クマは大好きなウサギの国のウサギたちが幸せになるために…
ウサギは大好きなクマの国のクマたちが幸せになるために…
一緒に旅をしていました。
山を越え、谷を越え。
二人は力を合わせて旅を続けました。
クマの王子が挫けそうになると、ウサギのお姫様はクマを励ましてあげました。
ウサギのお姫様が、故郷を思って悲しくなるとクマの王子はウサギを元気づけてあげました。
互いに支え、支えられながら。二人は旅を続けました。
しかし。
北の大地に辿り着き。
あともう少しで『幸せのタマゴ』に辿り着けるというその時に…
クマの王子は力尽きてしまいました。
動こうと思っても、体がいうことをききません。
雪に埋もれたまま、だんだんと体が冷たくなっていきます。
ウサギのお姫様は、クマの手を握って言いました。
「王子様、あなたは私の国のために一生懸命に頑張ってくれました」
ウサギのお姫様は泣きながら言いました。
「王子様、どうか私を食べてください」
クマの王子は言いました。
「私はあなたのことが大好きです。あなたを食べるくらいなら私は死を選びます」
クマの王子はウサギのお姫様の目を見つめました。
「あなたの国の幸せが私の幸せなのです」
クマの王子はウサギのお姫様に『幸せのタマゴ』を使って、ウサギの国を幸せにするように言いました。
しかし、うさぎのお姫様はただただ首を横に振るばかり。
「私の幸せはあなたの国の幸せです。あなたがいなくなってしまっては、なんの意味もありません」
二人はしっかりと手をつないだまま。
冷たくなっていきました。
その時です。
二人を温かな風が包み込みました。
二人が目を開けると。
そこには『幸せのタマゴ』を抱いた。女神様が立っていました。
「あなた達には『幸せのタマゴ』は必要ありません」
二人は首をかしげます。
「あなた達の心には『幸せのタマゴ』などよりも、もっと素晴らしい『信じ合う心』があるからです」
女神様はにっこりと微笑みました。
その笑みを見ているだけで、二人はとても幸せな気持ちになりました。
二人は手を取り合って、自分たちの国に帰って行きました。
『幸せのタマゴ』を持っていません。
それでも、二人の心はとても晴れやかでした。
今回のお題は「クマとウサギの物語」でした。




