「ハロウィン」
「トリック・オア・トリート」
通りから明るい子供たちの声が響いてくる。
「トリック・オア・トリート」
周囲は暗い。
家の周りにはジャック・オー・ランタンが飾られ、通りを賑わせていた。
男の子は魔法使いの格好で通りを歩いていた。
周りを見ると、皆男の子と同じように仮装をしている。
「トリック・オア・トリート」
子供たちは家々の玄関に声をかける。
家のドアは開かない。
それでも気にすることなく、子供たちは次の家へと向かっていく。
何かがおかしい。
賑わっているはずの通りが、どこか白々しく感じた。
賑わいを見せてるのは子供たちの声だけで、他に音も声もない。
「トリック・オア・トリート」
男の子は呟いてみた。
誰も応える者はいない。
ここはどこなのだろう。
大人の姿はない。
子供だけだ。
子供しかいない。
大人のいない、子供しかいない世界だ。
不安になった。
怖くなった。
「トリック・オア・トリート」
気が付くと…
周りに子供たちがいた。
男の子を取り囲んでいた。
ジャック・オー・ランタンの明かりだけが通りを照らす。その分周囲の闇が深い。
「トリック・オア・トリート」
子供たちの手が伸びる。
男の子の首へと。
「トリック・オア・トリート」
男の子の意識がだんだんと遠のいていった。
「ロンよりショウコ」
ショウコ「あっ、気がついたみたいですね」
ロン「事故にあって、一週間意識不明だったからね」
ショウコ「どうやら、峠は越したみたいですね」
ロン「まだ意識ははっきりしていないみたいだね」
ショウコ「こういう時って、子供の心はどこに行っているんですかね」
ロン「意識を失っているだけだから、夢を見ているってこともないだろうけど」
ショウコ「もしかしたら、死者の国に行っているかもしれませんよ」
ロン「もしそうだとしたら…あの男の子はそこから無事に帰ってきたことになるのかな」




