好きなんだよ。
空は、青かった。
私の目に写るのは青蘭の蒼と白銀の白。
手に持つは、鋭い想い。
確かに、その掌にあった熱い想い。
握り締めることの出来ない空白。
風は吹いた。歌は響き、鳥は飛んだ。
私の、想いは。
涙色に染まって消えていった。
いつからだろう。どうしてだろう。
考えて出る答えでは無くて。
私の夏の恋。淡く、苦い、物語。
そう、それは他愛もない子供の恋かも知れない。
だけど、ただ愛し、大切だった。
「桜夏」
それは、聞きなれた貴方の声。
私を呼ぶ、少し低くて、でも明るい声。
「瑛斗。どーしたの?」
桜夏と瑛斗、は、学校でも有名なカップルだった
「一緒に帰ろ。」
引かれた手はいつもの貴方。
熱く、大きく、広い掌。大好きな、貴方の手。
少し強引に引く、貴方の後ろ姿。
ねぇ、好きなんだよ、って言いたくて。
私もこの手を握り返す。
「今日もさぁ、カップルだとかなんとか言われたわ。馬鹿だよな、あいつら。
俺等は、ただの幼馴染みなのになぁ?桜夏」
あぁ、またか、って心に響く声。
幼馴染みならこんなことしないで、って、
言えるなら。
「そーだよね!馬鹿だよねぇ、」
苦笑いしてる。今、私、笑えてるかな。
「なー、桜夏ぁ。」
不意に、話しかけられた。
手を、話して、貴方はこっちを向いた。
「俺さ、好きなやつがいるんだ。C組の、相沢。コクりたいんだけど協力してくれるよな?
心に響く声。
違う、響く、振動。
動けない。相沢?あの、美人さん。
足が。声が。手が。全て、動かない。
貴方は、笑ってる。
にっこり、可愛い笑顔。
私の胸に、突き刺さる。