2. Sleep like a baby.
佐藤潤 暗殺者 無職 逝去20歳
「圧倒的自然だなここは」
空気がうまい、それに獣道しかない。この森を見て人の息が届いてないことを瞬時に理解する。
木から漏れる明るい光、落ち葉を踏むツノがあるうさぎ。枯れ葉を自分の身体に貼り付け内部へと飲み込んでいく赤い石が漂っているゼリー上のなにか。
「うーんなるほど。」
こういうのはそういうものだと思うのが一番いい。気にしない気にしない。
疲労回復そして睡眠を確保するためにはまず人里に降りるのがいいだろう。だが、ここはどうやら自分が前いた世界ではないとなると、言語体系が違うだろうそこをどうするかというのは悩ましいことだ。それにもしかしたらこの世界での宗教では余所者には厳しかったりするかもしれない自分の世界では人種や言語の壁そして宗教、そして麻薬によって戦争が起きた歴史があることを俺は知っている。知っているからこそ警戒は十分にすべきだ。
俺が着ている服は、中世の貧民が着ていた服にそっくりだった。俺が生きていた時着ていた黒い皮でできた服とは違い、麻のようなそんな感じのものでできていそうだった(麻の服を買ったことがないため)
「たぶんこれは神がこの世界に合った服を着せてくださったってことなのかな」
なかなか構えのいい神様だ
「とりあえずは、寝床の確保だな」
肩が重い、腰が痛い、全身が筋肉痛。目の前も少し霞んできた
俺は適当に木漏れ日が出ていない葉の密集度の高い木を選びその木の頑丈そうな太い所で寝ることにした。
「昼寝、なんて久しぶりだな」
あいつらの暗殺を始めてから休んだ日はない朝から晩まで寝る間を惜しみ一人、十人、百人と消していった食事なんて取る暇もなく暗殺する最中に見つけた殺したやつの食べ残りを食ったり満身創痍になって森に逃げ込み町に戻れない時に葉っぱや木の幹を食って誤魔化したりとしていた。そんな緊張が一生解けないそんな生活が死ぬまで続くだろうとそう思っていたが、死んだ頃にやっとそれが解けるとは思わなんだ。
まだ日は下がっていない今のうちに寝よう
風が気持ちいいあたりから香る木々特有の匂い、鳥の鳴き声。そんなことを感じながら眠りについた。