1.日常
「ハル!起きて!いつまで寝てるの!」
「ん…なんだよ朝っぱらから…」
意識がもうろうとしながら、俺はだるい体を起こす。
「なんだよ朝っぱらから…じゃないよ!今日の約束忘れたの?」
重い瞼を開くと、俺の幼馴染であるマヤが顔を赤くしながら怒っていた。
それにしても今日はおしゃれだな。
いつもは動きやすい恰好しかしないマヤが白いワンピースを着て、長い金色の髪もきれいに結んでいる。
どこかにも出かけ…
「…あ!!!」
「その反応もしかして忘れてたの?」
そうだ、今日は母さんと父さんの誕生日だ。
毎年3月3日、2人の誕生日にはケーキを買いに行くのだが、今年はすっかり忘れていた。
こんなに覚えやすい日なのに…
「やべっ」
「もう!やっぱり忘れてる。早くいかないとお店しまっちゃうよ!」
毎年いくケーキ屋さんは隣町にある。
この店はここらへんじゃ一番の有名店であり、早くいかないと全て売り切れてしまうのだ。
俺は、すぐさま服を着替え鏡で寝癖をチェックする。
よかった、寝癖ついてない
「マヤ!早くいかないと売り切れるぞ!」
「こっちのセリフなんだけど…」
呆れた顔をしたマヤにごめんと会釈し、足早に階段を降りると一回のリビングから何かいい匂いがした。
「おはよう、母さん父さん」
「あら、ハルちゃんようやく起きたのね」
「マヤちゃんずっと待ってたぞ。女の子を待たせるやつはもてねぇぞ!はっはっは!」
リビングを覗くと台所で料理をしている母さんと、顔を赤くして陽気になっている父さんがいた。
母さんは自分達の誕生日だからか、いつもより料理に気合が入っている様子だ。
一方父さんの方はというと、片手に酒を持ちながら気持ちよさそうに寝っ転がっている。
このおっさん、昼間っから飲んでるのか…
「昼から馬鹿みたいに飲んでる父さんには言われたくないよ」
そう言うと、父さんは鼻で笑い、母さんのところに踊りながら近づく。そして、
「俺はママからモテてるからいいんだよ!」
「あらあら」
母さんに思いっきり抱き着いた。
母さんは嬉しそうに頬を赤らめ、父さんに抱きつきかえす。
あ、始まった
こうなるとこの夫婦は見てらんなくなる。
どこであろうと、いちゃつき始めるのだ。
「ぱーぱ♡」
「まーま♡」
ほら、見てらんない。
2人はニヤニヤと嬉しそうにお互いを呼び合っている。
親のいちゃいちゃほど息子からしてしんどいものはない。
マヤも苦笑いだ。
「じゃあ行ってくるね…」
「い、いってきまーす…」
気まずくなった俺たちは、そこから逃げるように家を飛び出した。
次回から物語動きます。
ちなみにこの夫婦ばか強いです。




